3.『ディストラクション・ベイビーズ』(16) 監督:真利子哲也 108分
菅田の特色の一つに「演技の暴力性」が挙げられるが、本作はその真骨頂であり、菅田の役者としてのイメージを強烈に刻み付けた一作でもあろう。柳楽優弥演じる暴力的な男と、彼に魅せられた高校生(菅田将暉)、2人に誘拐されたキャバクラ嬢(小松菜奈)の旅が描かれる。
のちにドラマ・映画『宮本から君へ』(18・19)を手掛ける鬼才・真利子哲也監督のバイオレンス愛が爆発しており、全編にわたって強烈な描写が続く。中でも観る者に痛烈な衝撃を与えるのが、菅田演じる高校生の変貌だ。
元々は地元の不良だったが、柳楽扮する暴力衝動の権化と出会ったことで人生が一変。商店街で見ず知らずの女性に殴りかかり、本能の赴くままに引きずりまわす姿は、実にショッキングで、同世代でも菅田にしかできない芸当といえる。その前後でも、主人公が暴力をふるう姿を撮影して「ごめんな、ゲームなんよ」とへらへら笑い、自分の存在がネットにさらされるとほくそ笑むなど、随所で“危うさ”を放つ。
暴力という“武器”を手にしたことで確信犯的に堕ちていく姿は、まだ迷いがあった『闇金ウシジマくん Part2』(14)でのキャラクターから、数段階深化している。『エデンの東』(55)や『波止場』(54)しかり、若さゆえの暴力衝動を鮮烈に描く作品は旧来から青春映画の重要な要素だが、本作では菅田の「壊れていく」怪演が、重要なエンジンとして機能しているのだ。血走った眼差しや痛々しいまでの絶叫など、今観ても相当のショックを与えるだろう。
『ディストラクション・ベイビーズ』には、村上虹郎・北村匠海ら、次世代の注目俳優も出演している。
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