4.『セトウツミ』(16) 監督:大森立嗣 75分
『MOTHER マザー』(20)でも話題を集めている鬼才・大森立嗣監督とのコラボレーションは、意外にも緩いコメディ。お調子者とクールな男子高校生たちが、川べりに座ってだらだら話すだけというシンプルな設定の作品だが、共演の池松壮亮とともに、菅田のギャグセンスがいかんなく発揮されている。
大のお笑い好きでもあり、本作ののちに映画版の『火花』(17)で芸人役にも挑戦する菅田だが、『セトウツミ』で見せる華麗なボケとツッコミ、絶妙な間(ま)は、まさに職人芸。淡々としゃべる池松に対し、時にハイテンションに盛り上げ、時にダウナーに落とし……と八面六臂との活躍で、物語に彩りを与えている。
広義のワンシチュエーションものである本作は、やはりメインの出演者の演技力に作品の成否がかかっているといえよう。人気漫画を原作としておりストーリーの面白さは言うまでもないのだが、それでもやはり「場がもつか」は役者の腕の見せどころ。そういった意味でも、菅田の技量を堪能できる作品なのだ。
余談だが、原作漫画では終盤に衝撃的な展開が待っているため、ご興味のある方はそちらもチェックいただきたい。原作を読破してから映画に戻ってくると、作品の見え方がまた変わっているはずだ。
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