6.『キセキ あの日のソビト』(17) 監督:兼重淳 111分
松坂桃李と兄弟役を演じ、横浜流星、成田凌、杉野遥亮と共演した音楽青春映画。人気音楽グループ「GReeeeN」の結成秘話を描いており、松坂演じるプロミュージシャンと、菅田演じる歯科医を目指す学生の対比がドラマ部分の見どころだ。
松坂が扮した兄は、封建的な父親に反発して家を飛び出し、プロの世界に飛び込むも「売れ専」の業界に疲弊し、自分の夢を見失っていく。そんなときに、弟が同級生と作ったデモテープを聴いた彼は、非凡な才能と純粋な音楽愛に感化され、プロデュースを買って出る。単なる成功物語でなく、挫折した兄が弟に夢を託す、という切なさが漂うストーリーになっているのが心地良い。
菅田が扮した弟は、兄の姿を見て育ち、医者になって両親を喜ばせたいと願うも受験に失敗し……というポジション。音楽を愛しつつも、堅実な医療の道も進みたいと葛藤する心優しいキャラクターを、愛嬌のある演技で魅せる。松坂との演技のコントラストはもとより、「夢に熱くなれない青年が、現実を加味して夢を追うように変わる」という心情の変化を、滑らかに表現している。
本作では少年らしさの残る美声を披露しており、ここでの高パフォーマンスが、その後の音楽活動に繋がっていく。
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