監督の「音楽で表現したいもの」を見つけるのが楽しい
Q:制作期間は、今回は大体どれくらいだったのでしょう?
大間々:どれくらいだったんだろう……。意識していなかったですね。普通にしっかりと考える時間はいただけました。
藤井:今回はCGがあったから、ポストプロダクションの期間が普段よりも長くて、それも影響しているかもしれないですね。「来週までに10曲ください!」みたいなスケジュールではなかったです。
Q:今回はクランクインの前から参加が決まったということもあって、割とゆっくりじっくり作っていけた感覚ですかね。
大間々:そうかもしれないですね。
藤井:あと今回の劇伴(劇中音楽)は、イメージをすごく超えてきてくれて……ラストの主題歌の前の曲は、一発OKでした。最初にいただいたときから何の修正もしていませんし、大好きな曲です。
大間々:嬉しいです。僕もあの最後の曲は画を見て、感じたまま、ストーリーのまま、あまり難しく考えないで作ったんですよね。
Q:逆に、差し戻しも結構あるものなのでしょうか。
大間々:まあ、それはちょこちょこありますね。
前田:大間々さん、そこは正直に全部ぶちまけたほうがいいですよ……(笑)。
Q:(笑)。
大間々:でも僕の感覚からすると、少ないほうかなって思う。全然、追い詰められてないですよ。
前田:これは藤井道人監督の唯一無二なところだと思いますが、とにかく容赦ないんですよ。大間々さんにも、CG部にも、とにかく100点だすまで差し戻し。しかも、何回もっていうよりはもう、1回の戻しの要求が細かい細かい。
それを大間々さんがすごくうれしそうに聞くんですよ。ちょっと堅い作曲家だったら「これ以上はちょっと勘弁してください……」ってなるんだけど、「色々やるチャンスをもらえて嬉しいな」って言ってて、大間々さん、天使かと思いました。
そういった差し戻しの間に、藤井監督と大間々さんの距離がどんどん縮まっていって、結果本当に素敵な曲がついて、映画を色付けて下さったなと思ってます。
藤井:今回は30曲くらい作っていただいたんですが、1回もやり直しになってない曲と、ずっと微調整をしている曲の差がすごかったですね。リテイク的な感じになったのは5曲ぐらいなんですが、その5曲は永遠に近い感じで「もうちょい、もうちょい……」と作り上げていきましたね。
大間々:そうでしたね。