公開に向けて、今思うこと
Q:今回も貴重なお話、ありがとうございました。5月から始まったこのシリーズも、今回で最終回となります。最後に、公開を間近に控えた皆さんのお気持ちをお聞かせください。
藤井:新作が公開されるたびに、この緊張感を味わっていますが、今は楽しみな感情が大きいですね。もうできることは全部やって納得できるものを作ったので、たくさんの方に届いてくれればいいなと思っています。
大間々:この映画に関しては、すごくじっくり作り込みました。そういったものがどういう風に人に伝わるのか、楽しみですね。本作がしっかり描いた「家族」は、今のこの時期に大事なテーマかと思います。
前田:このコロナ禍の状況の中で、劇場のキャパシティが半分の中でやるのはある意味勝負なんですが、この作品は本当にスクリーンで見ると、別物だと自信を持って言えますし、たくさんの方に劇場に足を運んで観ていただきたいという思いが、ものすごくあります。
劇場もコロナ感染予防対策は念には念を入れてやっているし、藤井監督の粘りと意地と根性はこの作品の映像にすべて出ていると思うので、ぜひスクリーンでお楽しみください。待ってます。
Q:ありがとうございました!!
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5月から、足掛け4か月。1本の映画が出来上がるまでに、ここまで濃密なドラマが隠されていたとは。取材をする側としても、驚きの連続だった。
監督、プロデューサー、撮影監督、編集、音楽……。どの役職にも、譲れないこだわりと、皆に共通するものづくりへの想いがある。それを1つに凝縮したものが、私たちが目にする映画だ。彼らの物語を知ってから『宇宙でいちばんあかるい屋根』を観ると、スタッフロールを見る際にきっとこれまでとは違う、特別な感慨がこみ上げてくることだろう。
『宇宙でいちばんあかるい屋根』を皮切りに、これからもCINEMOREでは、クリエイターの深奥に迫る「CINEMORE ACADEMY」を継続していきます。どうぞお楽しみに!
<CINEMORE ACADEMYを振り返る>
監督:藤井道人
日本大学芸術学部映画学科卒業。脚本家の青木研次に師事。映像プロダクション「BABEL LABEL」を2010年に設立。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』(2014 年)で劇場公開作品監督デビュー。以降、『光と血』(17年)、Netflixオリジナル作品『100万円の女たち』(17年)、『青の帰り道』(18年)、『デイアンドナイト』(19年)が公開される。2019年に公開された『新聞記者』は日本アカデミー賞で最優秀賞3部門を含む6部門受賞。また他にも多数映画賞を受賞。新作映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』(今秋公開予定)が控える。
音楽:大間々昂
洗足学園音楽大学音楽学部卒。映画、ドラマ、アニメ、CMなど様々な分野で活動している。近年の映画作品としては、「彼女がその名を知らない鳥たち」「スマホを落としただけなのに」シリーズ(18、20)「ひとよ」「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」「見えない目撃者」など、テレビ・アニメではNHKスペシャル「スペース・スペクタクル」「人類誕生」、WOWOWドラマW「悪党」「イアリー見えない顔」、TBS火曜ドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」などの音楽を担当。
プロデューサー:前田浩子
鹿児島県出身。映像企画・制作会社、株式会社アルケミー・プロダクションズ代表取締役、プロデューサー。大学在学中から語学力を活かし、マドンナ、ローリングストーンズ、マイケル・ジャクソンなどの外国人アーティストのコンサートツアー、及び音楽番組の制作に携わり、その後映画・PV・CMに活動の場を移す。映画監督・岩井俊二と出会い、1996年に劇場用映画『スワロウテイル』で映画プロデューサー・デビュー。岩井作品は他に『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)『花とアリス』(2004年)がある。1999年『ビッグショー・ハワイに唄えば』(井筒和幸監督)プロデュース、同年『GTO 映画版』(鈴木雅之監督)のキャスティング。
その後海外作品へも活動の場を広げる。1998年長野オリンピックの米国製作記録映画、オリンピック・オフィシャル・フィルムを制作統括。1999~2003年に香港のウォン・カーウァイ脚本・監督『2046』の制作。2003&2004年公開のクエンティン・タランティーノ監督・脚本『キル・ビル』をプロデュース。2005年台湾映画『Silk』(チャオ・スーピン監督)のキャスティング、及び制作コーディネート。
その他主なプロデュース作品
「虹の女神 レインボーソング」(06:熊澤尚人監督)、『百万円と苦虫女』(08:タナダユキ監督)、『洋菓子店コアンドル』(11:深川栄洋監督)、『MY HOUSE』(12:堤幸彦監督)、『ぱいかじ南海作戦』(12:細川徹監督)、『星ガ丘ワンダーランド』(15:柳沢翔監督)、『オケ老人!』(16:細川徹監督)、『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』(19:細川徹監督)
取材・文: SYO
1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライターに。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」等に寄稿。Twitter「syocinema」
『宇宙でいちばんあかるい屋根』
(c)2020『宇宙でいちばんあかるい屋根』製作委員会
2020年9月4日(金)全国公開
配給: KADOKAWA