映画とウイスキーの親和性
ウイスキーとは、穀物を原材料とし、糖化、発酵させた蒸留酒を、木の樽で熟成させたものの総称である。このフォーマットに則っていれば、ワンコインで気軽に飲めるものから1杯100万円以上するものまで全て「ウイスキー」であり、その種類は多岐に渡る。
ワンコインで飲めるからマズいというワケでは無いし、100万円するウイスキーは、歴史的な貴重品であるという、味以外の付加価値が付けられたものだ。
映画も同様に、無名の若手が安価で作り上げたインディーズ作品から、数百億投資された世界規模で公開されるメジャースタジオの大作まで、その「味」は多岐に渡る。そしてやはり低予算だからつまらないワケじゃないし、大作だから面白さが担保されたワケでも無い。
作家性の強い個性的な映画は、さしずめシングルモルト・ウイスキーのようだし、世界中で公開するためにクセをおさえた映画は、飲み口のスムーズなカナディアン・ウイスキーのようだと言えるだろう。
また、気分によって重厚でリッチなフルボディの作品が観たい時もあれば、上品でキレのある作品で、気分をリフレッシュしたい時もある。
気分に合わせた賢い映画選びとウイスキー選びは、大人の嗜みと言えるだろう。
文: 侍功夫
本業デザイナー、兼業映画ライター。日本でのインド映画高揚に尽力中。