『ジョゼと虎と魚たち』ボンズ代表・南雅彦が語る、愛たっぷりの「アニメの作り方」【CINEMORE ACADEMY Vol.14】

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2020.12.25SYO

世界に届けられる環境に見合った作品を作り続けたい

Q：ボンズは、2018年にはNetflixと包括的業務提携を結びました。その他にも多々、新たな挑戦を模索しているイメージですが、今後、ボンズが目指す未来とは？

南：うちはプロデューサー制を敷いているので、プロデューサーとスタッフがアニメーションを使ってどんなものを生み出したいのか、を形にしていくのが会社としての大きな仕事かなとは思います。

ただそうすると、自分がプロデューサーをするスタジオがなくなってくるんですよね。「あれ、俺も独立しなきゃいけないのか？」なんてことを思いつつ……（笑）。

僕としては、そうした作品作りをちゃんとできるのであれば、会社の規模は大きくても小さくてもいいと考えています。ちょっと今は拡大傾向にあってしんどいですが……（苦笑）。

Q：来年のラインナップが、とんでもないですもんね。『僕のヒーローアカデミア』第5期、『ゴジラS.P＜シンギュラポイント＞』、『文豪ストレイドッグスわん！』『SK∞ エスケーエイト』……。

南：『EUREKA/交響詩篇エウレカセブンハイエボリューション』もありますからね。絶賛制作中です。

やっぱり一番面白いのは、Netflixなどで全世界に配信されていることですね。僕が海外における日本のアニメの人気を初めて実感したのは、『カウボーイビバップ天国の扉』（01）のときです。

「アニメ・エキスポ」というコンベンションに参加したら、アメリカでの初めての試写会に、長蛇の列ができていた。あまりに人が多いから、急遽「1回でなく、2回上映します」となって、会場もものすごく盛り上がり、「自分たちが作ったアニメが、海外の人にこんなに興奮して喜んでもらえるんだ」とただただ驚きでした。

それがいまや、当時は２万人ほどだったアニメ・エキスポの規模も30万人を超え、Netflix等で全世界に作品を配信できる。すごく幸せな環境ですよね。だからこそ、ちゃんと世界に打って出る作品を作らなければならないと思うし、商業的にも世界規模のビジネスとして成立できるようにしていきたい。そこくらいまでは、生きていたいなと思います。

Q：劇場版『僕のヒーローアカデミア』のブルーレイを持っていますが、特典映像に入っていた海外上映での熱気がものすごかったです。

南：本当に、ものすごく人気ですよ。あれを生で体験すると、びっくりすると思います。自分はアニメ・エキスポではなくフランスのジャパン・エキスポに行ってたのですが、パリも盛り上がってました。

Q：2020年は、国内でも改めてアニメの強さを実感する年となりました。

南：ヒット作やロングランの作品が続々と出てきて、すごく良いことですよね。やっぱり嬉しいです。

やっぱり、コロナ禍に劇場に観に来てもらうのは、すごく勇気のいることだと思いますしね。アニメーションが、多くの方に愛されているなと感じています。

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株式会社ボンズ代表取締役・プロデューサー：南雅彦

株式会社サンライズに入社。「天空のエスカフローネ」「カウボーイビバップ」等の作品をプロデューサーとして手掛ける。１９９８年逢坂浩司、川元利浩と制作会社ボンズを設立。「鋼の錬金術師」「交響詩篇エウレカセブン」「ストレンヂア無皇刃譚」など多くの作品を制作している。

取材・文： SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター／編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「シネマカフェ」「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema」