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『BLUE/ブルー』吉田恵輔監督 自らのボクサー体験から生み出した、生々しくも美しいボクシング映画の内幕【Director’s Interview Vol.117】

『BLUE/ブルー』吉田恵輔監督 自らのボクサー体験から生み出した、生々しくも美しいボクシング映画の内幕【Director’s Interview Vol.117】

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ボクシングの聖地、後楽園ホールでの撮影



Q:本物の後楽園ホールを借り切った撮影が見所の一つですが、時間はどれくらいかかったんですか?


吉田:撮影にはかなり時間がかかりました。本番前にビデオコンテも作って殺陣の練習も全部して、その通りに撮りましたから。10分を1カットで、それを何カットも撮っていくという感じで、大変でした。


ジムのスパーリングシーンだったら、時間の余裕もあるし、ヘッドギアもしてるから、パンチが多少あたってもいいでしょ?っていう感じで、動きもその場で考える。後楽園ホールは1分1秒を争うから、そういうことが一切許されない。そこに集中しすぎた結果、ドラマのシーンを撮るのを結構忘れてしまって(笑)。後楽園ホールで試合のシーンを撮るってことに頭が行き過ぎて、役者もあんまりセリフ覚えてねーよ!って(笑)。


後楽園ホールの撮影の次の日にスーパーマーケットのシーンを撮ったんですけど、助監督がエキストラを呼ぶのを忘れたてた(笑)。後楽園ホールの観客席をエキストラで「埋めなきゃ、埋めなきゃ」って集中して頑張った結果、「監督、すみません。スーパーマーケットのエキストラ忘れてました」って(笑)。客がゼロのスーパーになっちゃうから、現場で焦ってたら、貸し切りにしてるのに、営業していると思っておばちゃんが入ってきちゃう。「すみません、今日撮影で営業してないんです」って言うと、「あら、そうなの?」って。でも「良かったら出演していきませんか?」って、その場でスカウトしました(笑)。


©2021『BLUE/ブルー』製作委員会


Q:後楽園ホールでの試合シーンは、会場全体の照明を暗く落として、不穏な空気が醸し出されていました。監督はもともと照明マンでもあるので、かなりこだわりがあったのではありませんか?


吉田:後楽園ホールの照明は、本来客席をあんなに暗くしないんです。ただ、最近は実際の試合でも、ああいう暗いライティングにする時もある。それは、お客が入ってない時。この前も新人王の試合をライブ配信する時に、俺が後楽園の人に「今日、照明暗くないですか?」って聞いたら、「今日は客の入りが少ないので、映像で目立たないように、ちょっと落としてます」って(笑)。実際、そういうこともあるから、映画のライティングは最近の後楽園ホールの雰囲気に近いんです。





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