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『BLUE/ブルー』吉田恵輔監督 自らのボクサー体験から生み出した、生々しくも美しいボクシング映画の内幕【Director’s Interview Vol.117】

『BLUE/ブルー』吉田恵輔監督 自らのボクサー体験から生み出した、生々しくも美しいボクシング映画の内幕【Director’s Interview Vol.117】

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ボクサーが抱える矛盾



Q:瓜田が、チャンピオンになった後輩の小川に「お前が負ければいいとずっと願ってた」と言うシーン。あのセリフに、この映画のテーマが凝縮されていると感じました。


吉田:ボクサーはいろんな矛盾した気持ちを抱えた存在だから、瓜田をただ、「弱いけどいい人」、みたいな扱いで終わらせたくなかったんです。「俺は、いい人なだけじゃない、こんな暗い気持ちも抱えている。でもそんな気持ちを持つのは、俺がそれだけボクシングに賭けているからなんだ」と。


そういう矛盾をずっと胸にしまっていながら、別れ際につい言葉にしてしまう感覚、そこが人間らしいなと思います。あまりにもいい人すぎると、ロボットみたいじゃないですか。だから、ああいうセリフで彼の弱さや深さが見えたらいいな、と思いました。

 

©2021『BLUE/ブルー』製作委員会


Q:この映画の見所を、監督から是非お願いします。


吉田:お勧めするの難しいんだよな。俺、一般の人に向けてこの映画作ってないから(笑)。プロボクサーのライセンス持っている人にだけ見せようと思ってたから(笑)。


Q:それは、プロが見てもおかしくない、本物のボクシングが詰まってる映画ってことではないでしょうか!


吉田:「ボクシング」っていうものの認識が、ちょっと変わる可能性がある映画だとは思いますね。ボクシングの残酷性だったり、美しさだったりとか、そういう面を一番描いている映画だという自信はあるので、そこを見てもらえたらなって思います。



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監督・脚本・殺陣指導:吉田恵輔

1975年、埼玉県出身。東京ビジュアルアーツ在学中から自主映画を制作する傍ら、塚本晋也監督の作品の照明を担当。映画のほかにもプロモーション・ビデオ、CMの照明も経験。06年には自らの監督で『なま夏』を自主制作し、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門のグランプリを受賞。その後も塚本作品などで照明技師として活動し続け、08年に小説「純喫茶磯辺」を発表。同年、自らの監督で映画化して話題を集める。その他の監督作品に、『さんかく』(10)、『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(13)、『麦子さんと』(13)、『銀の匙 Silver Spoon』(14)、『ヒメアノ~ル』(16)、『犬猿』(18)、『愛しのアイリーン』(18)など。本作の他、古田新太と松坂桃李が共演する『空白』の公開も控えている。



取材・文: 稲垣哲也

TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)『師弟物語~人生を変えた出会い~【田中将大×野村克也】』(NHK BSプレミアム)。




『BLUE/ブルー』

4月9日(金)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー

配給:ファントム・フィルム

©2021『BLUE/ブルー』製作委員会

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