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『名も無い日』永瀬正敏 最近は映画の現場を俯瞰で見れるようになりました【Actor's Interview Vol.14】

『名も無い日』永瀬正敏 最近は映画の現場を俯瞰で見れるようになりました【Actor's Interview Vol.14】

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痛いほど伝わるモーニングワーク



Q:(近しい者の死から)残された者の戸惑いとやるせなさが映画全体から漂ってきましたが、日比監督とはどのような話をされたのでしょうか。 


永瀬:弟さんを孤独死で亡くされているという、今回の映画になったエピソードについて、映画よりもさらに率直な言葉で、監督から色々と話を聞きました。子どもの頃の話や大人になってからの関係性まで、映画で描かれてないところも含めて、包み隠さず話してもらいましたね。


Q:劇中では、緩急あるストーリー展開はそれほどなく、キャメラは永瀬さん演じる達也を静かに見つめ続けます。達也自身も大きな感情の起伏などは多くないですが、内に秘めた想いを持って佇み漂う姿が印象的でした。今回のような役柄の場合、永瀬さん自身はどのようなスタンスで撮影に臨まれるのでしょうか。

 

永瀬:今回に関しては、ほんとにつらかったですね。映画に出てくる家は監督のご実家で、そこで実際に弟さんを亡くされているんです。当然監督は、映画を撮影するだけではなく、何か違うものも感じている。それが現場で痛いほど伝わってくる。普段の撮影のように「はい、カット」で、すぐに現実に戻るということはなかなか出来なかったですね。


自分が演じた役のモーニングワーク(喪の仕事)は、目の前にいる監督が実際に体験されたことですし、僕自身も思い悩みながらそこにいた気がします。


(c)2021 『名も無い日』製作委員会


Q:今回の役の職業はカメラマンで、実際に永瀬さんご自身も写真を撮られていますが、役へのアプローチはどのようにされたのでしょうか? 映画出演が決まってから撮影現場まで、いつもご自身で準備されていることなどはありますか? 

 

永瀬:役者として、役づくりは当たり前のことなので、資料があれば読みますし、その職業について練習もします。ですが今回は、自分が普段写真を撮っているので、そこをゼロから積み上げていくことはなかったですね。ただし、撮影前は監督とたくさん話をしました。それが今回の役を“積んでいく“ことになったと思います。


Q:目の前にいる本人(監督)を再現するのか、それとも永瀬さんなりの達也像を作られたのか、どちらだったのでしょう?


永瀬:映画として脚色はされているので、そういう意味ではまるっきりなぞることはしていません。ただ、自分が演じる人がすぐ目の前にいるので、方向性や心の温度のようなもので迷った時は、すぐ意見を聞くことが出来ました。その点は助かりましたね。





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