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『名も無い日』永瀬正敏 最近は映画の現場を俯瞰で見れるようになりました【Actor's Interview Vol.14】

『名も無い日』永瀬正敏 最近は映画の現場を俯瞰で見れるようになりました【Actor's Interview Vol.14】

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相米慎二、ジム・ジャームッシュ、河瀨直美



Q:河瀨監督をはじめ、国内外問わず名だたる監督たちとお仕事をされていますが、映画の内容について、プロデューサーや監督に意見を提案したり、いい意味で議論になったりすることはあるのでしょうか?


永瀬:撮影が始まってから内容を議論するのは極力避けたいので、撮影前に自分で考えて、疑問点を監督にぶつけたり議論したりはします。僕のデビュー作は相米慎二監督だったのですが、相米監督は「自分で考えろ!」って人だったので、その癖が付いているのかもしれません。


ジム・ジャームッシュ監督の場合は、撮影前に1週間リハーサルがあって、そこで何でもアイデアを出してくれって感じでした。「これはどうだ、あれはどうだ」って、脚本以上のものをみんなで生み出していくんです。それで撮影が始まってからは、現場で変えることはほとんどない。監督を中心に、撮影前にみんなでクリエイトしていくんです。


Q:ある程度完成させてから現場に臨むスタンスなんですね。それだとアドリブなどは少ない感じになるのでしょうか?


永瀬:アドリブというか、その現場で起きる変化にはとても柔軟ではあります。その時起きたハプニング等にはそのまま生かして撮影したりしますね。他の作品は監督によりますよね。共演者との呼吸もあるのですが、がんがんアドリブするときもありますし、現場では一切変えない場合もあります。一言一句、“てにをは”も変えないで欲しいと言う監督もいますね。




河瀨直美監督の現場だと、話すセリフは脚本通りなのですが、シーンが終わってもカメラは回っているんです。先ほど言った通り、その役としてそこにいますから、カットの後に何気なく話した(脚本に書いていない)言葉も、撮影中に監督から届いた指示にそったアドリブもその役が発した言葉として捉えられて、実際に本編でそこの部分が使われることもあるんです。だから現場に入ったら、カメラが回ってない時からずっと、その役としてその場にいる必要がありますね。


Q:これまでお話いただいたように、監督はみんな自分の世界観を持って、それぞれのやり方で映画作りに臨んでいると思いますが、経験が浅い新人監督なんかだとその辺はどうでしょうか? 現場で悩まれているところに永瀬さんがアドバイスされたりするものなのでしょうか?


永瀬:いえ、新人だとしても監督は悩んでいるような姿勢は現場では見せないですね。見せられても困るかな(笑)。ただ僕は、学生の映画撮影にも参加することがあるので、そういうときはたまにアドバイスすることはあります。でもそれも、彼らが悩んでいるというよりも、「ここをもっとよくしたいんです」って素直に聞いてくれる感じですね。まだ学生で、これから夢に向かって何でも吸収しようという状況なので、その貪欲さの表れなんだと思います。


一方でプロの監督さんたちは、現場で迷われているような感じは一切ないですね。ただ、撮影前に「このシーンどう思う?」って相談してくれる監督はたまにいます。「ここは現場で実際にやってみて、正解を導き出す方向でも良い?」って。そういう場合は、「じゃあ、現場でトライしてみましょう」となりますが、ただそれもあくまで撮影前に言われているわけで、現場で悩んでいるわけではないですね。





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