映画『名も無い日』は、NYで活躍するカメラマンの日比遊一氏が監督を務めた作品。本作は日比監督の経験が元となっており、弟の訃報を受けたNY在住のカメラマン達也が、名古屋の熱田に戻るところから話が始まる。主人公の達也を演じたのは永瀬正敏。写真家としての顔を持つ永瀬が達也を演じることには、大きな意味も感じる。
83年の映画デビューから、すでに40年近く第一線を走り続ける永瀬だが、出演オファーは今も絶えることがない。主演俳優として、バイプレイヤーとして、数多くの監督たちに愛される永瀬正敏という俳優は、普段どのように映画に向き合っているのか? 今回は単独インタビューで本人に話を伺った。
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出演の決め手となった日比監督の思い
Q:キャリアも長くて、これまで相当な本数の映画に出演されていますが、映画の出演を決めるポイントはありますか?
永瀬:いろんなパターンがありますね。過去にご一緒したスタッフの方に声を掛けていただいて、二つ返事で引き受けたり、監督から直接電話がかかってきて「やってよ」と言われることもあります。
でも基本は脚本で判断することが多いです。読ませてもらって途中下車しなかったもの、つまり最後まで一気に読めたものに出演することが多いですね。途中下車しなかったということは、当然その脚本全体が面白かったわけですから、そこはイチ観客としての視点で判断しているのかもしれません。
Q:本作の出演はどういった経緯だったのでしょうか?
永瀬:今回の決め手は日比監督の“作品に対する思い”です。監督が過去に体験されたことを、監督自身が作品を通じて向き合おうとしている姿勢をみて、出演を決めました。