パーカー&ライダースジャケット『マイ・プライベート・アイダホ』
1990年代はストリート・ファッションやグランジ・スタイル、フレンチカジュアルが花開いた時代。当然、映画もその影響を受けて、『シングルス』(92)、『リアリティ・バイツ』(94)、『エンパイア・レコード』(95)、『トレインスポッティング』(96)など、ちょっと薄汚いけれど、自由なスタイルとカラーが画面に溢れ返った。その代表格が、ガス・ヴァン・サントの”ポートランド3部作”で最高傑作と言われる『マイ・プライベート・アイダホ』(91)だ。
ポートランドで男娼として暮らす青年、マイクとスコットが、マイクを子供の頃に捨てた母親を探して旅に出るロードムービー。売春、同性愛、ドラッグ、近親相姦、ナルコレプシーと、映画が提示するテーマはどれも衝撃的だが、2人が着るストリート・ファッションはとにかく新鮮で、多くのデザイナーやスタイリストに影響を与えたと言われる。ガス・ヴァン・サント作品の中でも、イメージソースの多さではピカイチだ。
リバー・フェニックス演じるマイクは、裏地がボアのランチコートの肩をずらして羽織ったり、スコットとバイクに相乗りするシーンでは、黄褐色の裏地が付いたオレンジ色のバーンジャケットを着ている。どれも映画の衣装とは到底思えない馴染み方で、今も実際にアメリカ西部やノースカロライナ辺りでは、同じような格好をしている若い子たちが街をたむろしているという。
また、キアヌ・リーヴス演じるスコットは、ダブルのライダースジャケットのインナーにパーカーという、これまた世界中どこでも見かけられるパイオニア的コーデの典型を披露。それらは、よりソフトな素材の革ジャン、ハイネックのパーカーへとシルエットを変えながらも、タウンウェアとして今も愛されている組み合わせだ。
革なのに伸びる。美シルエットだけど抜群の着心地の良さを感じる、新感覚レザー。
junhashimoto STRETCH INNER RIDERS
ナイロン×コットンのコンビネーションで魅せる、高級感にあふれたパーカー。