原作のムードから発想した結末(ネタバレなし)
Q:あなたの映画は、つねに結末が話題になりますが、今回、何か苦心はありましたか?
シャマラン:原作のグラフィックノベルは、寓話的で宗教的な部分があり、ドラマ自体が混沌とし、結末も曖昧になっていく。だから僕は前半のエピソードや挑発的なムードを受け継いで、終盤の展開を考えていった。基本的に原作から生み出されたと言っていい。
Q:『オールド』の主人公たちのように、急速に時間が進み、人生の最後の一日になるとしたら、どんな映画を観て過ごしますか?
シャマラン:僕のラストムービーか……。きちんとしたスタイルの映画ということで、ピーター・ボグダノヴィッチの『ラスト・ショー』(71)がいいかな。あと『ゴッドファーザー』(72)も観たいけど、最後の24時間のうち3時間もとられるからもったいないか(笑)。芸術としてのスタイルが確立され、芸術の力を感じさせる映画なら、ウォン・カーウァイの『花様年華』(00)もすばらしい。
Q:では最後に、コロナ禍であなたの生活も一変したと思いますが、今後の創作に何か影響はあるのでしょうか。
シャマラン:何もしないように強制されることで、不思議なことに平和を取り戻した感覚もある。ビル・ゲイツは毎年、完全に何もしない1週間を設け、思考するだけの時間に充てるそうだが、僕も何もできず、何も起こらない時期を過ごし、次の2、3年に手がける映画やTVシリーズについてじっくり向き合えるようになった。考えることで満たされる、貴重な時間になった気がするよ。
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監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
取材・文:斉藤博昭
1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。
『オールド』
8月27日(金) 公開 配給:東宝東和
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