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『人と仕事』森ガキ侑大監督×河村光庸プロデューサーが再定義する、映画の社会意義【Director’s Interview Vol.149】

『人と仕事』森ガキ侑大監督×河村光庸プロデューサーが再定義する、映画の社会意義【Director’s Interview Vol.149】

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「いける」と確信を得た、有村×志尊の対話シーン



Q:海外のドキュメンタリーは非常に劇映画的というか、感情の流れや編集を含めてドラマ仕立てにしているものも多いですよね。ただ『人と仕事』は、そことも異なるし、かといって日本的な「事実を積み上げていく」ドキュメンタリー手法ともやや異なっている。全人類がリアルタイムで経験している「コロナ」が題材なのもあるかと思いますが、風合いが独特です。


河村:個人的にはすごく良い映画ができたと思っているのですが、果たして客観的に観てどうなのか、今回においては全くわからない(笑)。ただ、既に観てくださった方々からの評判が非常にいいので、ホッとはしています(笑)。


ドキュメンタリーは客観的であるものだと思うのですが、今回は極めて主観的なんですよね。その中で、筋書きのないドラマを紡いでいかなければならない。


森ガキ:撮影も大変でしたが、編集もそれに並ぶくらい苦労しましたね。答えがないわけですから。



『人と仕事』©2021『人と仕事』製作委員会


Q:それこそ、かなり最近の話まで盛り込んでいますもんね。


森ガキ:そうなんです。「事件が起こったら撮りに行こう」じゃないけど、撮影と編集を並行させて、リアルタイムで作っていきましたね。新しい素材を入れたら当然構成も変わりますし、出口がわからないまま必死にやっていました。


河村:コロナ自体、未だ終息していませんしね。しかし、コロナという重圧の中でよくお付き合いいただけて感謝しています。


この映画の制作過程で最も手ごたえを感じたのが、有村さんと志尊くんだけで対話してもらったシーン。森ガキ監督もカメラだけ置いて席を外し、ふたりも戸惑っていましたが、あれが撮れたのがものすごく大きかった。意図的に困らせたわけじゃないけど(笑)、あの対話によってふたりにも変化が起こったし、とにかくリアルでしたよね。あとからその映像を観たとき「いける!」と確信を得ました。


森ガキ:わかります。あそこで全体の構成が見えましたよね。


河村:僕はいつも基本的に現場に任せて、出来上がってくるものを楽しみに待つやり方をしているのですが、今回はその中でも全然予想がつきませんでしたね(笑)。




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