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『さがす』片山慎三監督 言葉に頼らず物語に没入させる映画術【Director’s Interview Vol.175】

『さがす』片山慎三監督 言葉に頼らず物語に没入させる映画術【Director’s Interview Vol.175】

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限られた条件を有効に使うには



Q:前作『岬の兄妹』は自主制作、今回は商業映画ということで、予算はかなり増えたと思いますが、その一方で内容やスケジュールなど制約も出てきたかと思います。そのあたりはいかがでしたか?


片山:『岬の兄妹』の時は全て自分のお金で作ったので、自分の責任においては、まあほとんど何をやってもいいような状況でした(※『岬の兄妹』の予算は300万円)。一方で、商業映画の初監督作ってだいたい予算が決まっていて、色々な制約の下、限られた予算をどうすれば最も有効に使えるか考えましたね。


自分としてはどうしても撮影期間を増やしたかったので、スタッフを必要最低限の人数だけにして、その分撮影日数を増やす方法を提案しました。2〜3人で30分かかる仕事が、1人で1時間〜1時間半かかったとしても、その分撮影期間が延びるのであれば、そっちの方が良いと考えたんです。製作の初期段階からそれはずっと言い続けていて、実際その方法で撮影させてもらい、それが上手くいったと思います。もちろんその分、スタッフ個人にかかる負担は自分も含めて大きかったですが、新しい取り組みは出来たかなと。



『さがす』©2022『さがす』製作委員会


Q:助監督経験の長さから培われたのか、片山監督はお金をかけずとも映画を豊穣に見せる方法を熟知しているように思います。また、ロケーションの選び方も素晴らしい。とにかく“抜け(背景)”が良くて画の豊かさを感じます。もちろん美術さんが入って作り込んでいる部分もあると思いますが、タダで撮れる場所を非常にうまく使っている印象がありました。


片山:そうですね。どこで撮影するかはやっぱり重要ですし、お金をかけずに抜けのいいところでやろうと思ったら、室内のシーンを減らして、登場人物はできるだけ外で行動させる。しかもおっしゃる通りタダなので(笑)。その辺は『岬の兄妹』を撮った時に考えついたこともあり、脚本の段階からすごく意識していました。




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