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『さがす』片山慎三監督 言葉に頼らず物語に没入させる映画術【Director’s Interview Vol.175】

『さがす』片山慎三監督 言葉に頼らず物語に没入させる映画術【Director’s Interview Vol.175】

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尽きない創作意欲



Q:清水尋也さん演じる山内照巳は煙の中から登場しますが、あのシーンは鳥肌モノでカッコ良かったです。痺れました…。


片山:実はあのシーンは脚本にはなかったのですが、ロケハン中に思いつきました。『タクシードライバー』(76)の冒頭で、煙の中からタクシーが出て来るじゃないですか。自分の中ではあのイメージなんです。


元特機部のスタッフが、消えにくい特殊な煙が出る自作の機械を持っていて、それを使ってうまく煙を出してくれたのですが、どうしても風に影響されるのでコントロールが難しく中々大変でしたね。そんな中でもスタッフが皆頑張ってくれて、とても豊かなシーンが撮れたと思います。



『さがす』©2022『さがす』製作委員会


Q:以前、「自分にとっての2作目は、D・フィンチャーの『セブン』、M・スコセッシの『タクシードライバー』に値する作品にしたい」と話されていましたが、『さがす』もまさにそのレベルまで肉薄していると思います。ご自身の感想はいかがですか? 

 

片山:「もう少しこうしておけば良かったな」といった反省点は自分の中ではありますが、限られた予算と日数の中ではよくやったなと思います。完全に満足すると次を作ろうという気にならないと思うのですが、自分の中には今でも創作意欲があるので、そういう意味ではまだまだじゃないですかね。




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監督・脚本:片山慎三

1981年2月7日生まれ、大阪府出身。中村幻児監督主催の映像塾を卒業後、『TOKYO!』(08/オムニバス映画 ポン・ジュノ監督パート)、『花より男子ファイナル』(08/石井康晴監督)、『母なる証明』(09/ポン・ジュノ監督)、『山形スクリーム』(09/竹中直人監督)、『マイ・バック・ページ』(11/山下敦弘監督)、『苦役列車』(12/山下敦弘監督)、『ヨコハマ物語』(13/喜多一郎監督)、『味園ユニバース』(15/山下敦弘監督)、『はなちゃんのみそ汁』(15/阿久根知昭監督)などの作品に助監督として参加。自費で製作した『岬の兄妹』(18)で長編映画監督デビューを果たし、映画界を席巻。全国6館から50館以上へ拡大公開され、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018国内コンペティション長編部門優秀作品賞・観客賞、第41回ヨコハマ映画祭新人監督賞、第29回日本映画批評家大賞新人監督賞などを受賞。そのほかの監督作品として、『そこにいた男』(20)や「さまよう刃」(21/WOWOW)など。本作が商業映画デビュー作であり、長編映画監督2作目となる。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『さがす』

1.21(金)テアトル新宿ほか公開

配給:アスミック・エース

©2022『さがす』製作委員会

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