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『選ばなかったみち』サリー・ポッター監督 どうして私たちは人々とつながるのか【Director’s Interview Vol.185】

© BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE AND AP (MOLLY) LTD. 2020

『選ばなかったみち』サリー・ポッター監督 どうして私たちは人々とつながるのか【Director’s Interview Vol.185】

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人間はなぜつながるのか



Q:父と娘、夫と妻という関係性がとても印象的で、「家族」という共同体について深く考えさせられます。 


ポッター:レオの頭の中には、現在の家族だけではなく、メキシコで初恋の相手と築いた家庭もあり、今入院しているニューヨークには離婚した別の妻がいる。実はこういうことは、私たちも経験していると思うんです。自分が今一番親近感を感じているのは誰なのか。普通は家族となるのかもしれませんが、人生のタイミングによってはそうでないこともある。


父と娘の関係性も、通常は親が育児を行いますが、今のレオとモリーはそれが逆転して、まるで子供が親を育児しているような構図になっている。人生には複雑なことが起こるんです。



『選ばなかったみち』© BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE AND AP (MOLLY) LTD. 2020


Q:親子は血が繋がっていますが、夫婦はそもそも他人です。そういった人間が家族となり共同体になる。そこも不思議ですよね。


ポッター:歴史的には、遺伝子や地域でつながる“血縁”が重視されてきました。しかし私は、自分自身で選ぶ家族の方が、すごく大事だと思います。ある学者の方が言っていたのですが、私たちのルーツを辿っていくと全員共通の祖先にたどり着きますが、その縦のつながりよりも、他人である横のつながりのほうが、実は強い。


私たちをつなぐものは何なのか、どうして私たちは人々とつながるのか?それはこの映画で掘り下げたかったテーマの一つです。 


西洋文明で最も初期に作られた物語ともいえる「ユリシーズ」の神話は、“ホーム”と呼ばれるところにユリシーズが戻ろうとする物語です。そこは一体どこなのか?誰がいるところが“ホーム”と呼べるのか。つまり、家族とは何なのか、私たちは誰なのか、そういう問いかけでもあるわけです。




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