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『TITANE/チタン』ジュリア・デュクルノー監督 ユーモアを入れることはミクスチャー【Director’s Interview Vol.197】

©KAZAK PRODUCTIONS - FRAKAS PRODUCTIONS - ARTE FRANCE CINEMA - VOO 2020

『TITANE/チタン』ジュリア・デュクルノー監督 ユーモアを入れることはミクスチャー【Director’s Interview Vol.197】

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カニバリズムと性の目覚めをテーマにした長編デビュー作『RAW〜少女のめざめ〜』(16)で、その非凡な映画センスを見せつけたジュリア・デュクルノー監督。2作目となる『TITANE/チタン』(21)で描くのは、交通事故で頭蓋骨にチタンプレートが埋め込まれ、車に対して異常な執着心を抱く女性。しかもこの作品、何とカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞している。たった2作で頂点を極めてしまったデュクルノー監督、いわゆる天才タイプの人物かと勝手に思い込んでしまったが、本人の言葉に込められていたのは映画制作に対する地道で実直な姿勢だった。


Index


秘訣は人物に寄り添うこと



Q:前作『RAW〜少女のめざめ〜』ではカニバリズムと性の目覚め、本作では体に埋め込まれたチタンプレートと車への執着と、その独創的なアイデアはどのように思いつかれるのでしょうか?


デュクルノー:うーん、わからない。どうやって湧いてくるんでしょうね(笑)。多分これは積み重ねなんです。何ヶ月もかけて物語を考えて、面白そうな要素が浮かんできたらそれらをうまく関連づけていく。そこから、象徴性を持たせる内容やストーリーテリング、自分好みのシーン、全体のリズム、などなど、いろんなアイデアを考えては少しずつ構成していきます。物語を考える工程自体が、アイデアの源になっているのかもしれません。



『TITANE/チタン』©KAZAK PRODUCTIONS - FRAKAS PRODUCTIONS - ARTE FRANCE CINEMA - VOO 2020


Q:チタンプレートと車への執着だけでもかなり“不穏”ですが、その不穏さをしばし忘れさせるくらい“不穏”な人物も更に登場します。物語は一見暴走しているかのように見えつつも、決して破綻することなくストーリーテリングされていく。監督はどのように全体をコントロールされたのでしょうか。


デュクルノー:おっしゃる通り、かなり常軌を逸したストーリーですよね(笑)。そんなカオスをどうコントロールしていったのか? 秘訣はやはり人物に寄り添うことだと思います。出会うはずのなかった不穏な二人の邂逅で緊張がどんどん高まっていく。そこから生まれてくるのは二人の絶対的な愛。それがこの物語の核心であり、大いなる意外性でもある。それを念頭に置いて全ての作業を進めました。脚本を書く時も、撮影する時も、編集する時も、それは絶対に忘れなかった。そのおかげで物語を破綻させることなく、全体をコントロール出来たのだと思います。




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