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『ベイビー・ブローカー』是枝裕和監督 まずは自分が面白いと思うものを【Director’s Interview Vol.219】

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『ベイビー・ブローカー』是枝裕和監督 まずは自分が面白いと思うものを【Director’s Interview Vol.219】

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ソン・ガンホ、ぺ・ドゥナにカン・ドンウォン、この並びを見ただけでもワクワクするのに、今回彼らが出演する映画を手がけるのは、なんと是枝裕和監督。『ベイビー・ブローカー』のタイトル通り、赤ちゃんを売るために旅に出る一行とそれを追う刑事たち。何とも映画的なこの物語は、見事なまでに面白い韓国映画に仕上がっており、また、どこを切っても是枝作品になっている。シビアな現実を描きながらも、救いを見出そうとする優しい目線にホッとするのは是枝作品ならでは。


是枝監督とぺ・ドゥナは『空気人形』(09)で仕事をした仲だが、ソン・ガンホをはじめとする名優陣との仕事は今回が初。彼らとの現場では一体何が起こっていたのか? 是枝監督に話を伺った。



『ベイビー・ブローカー』あらすじ

古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(イ・ジウン)が〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが…。


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「子供時代」を奪われた子供たち



Q:今回は乳児ブローカーの話をもとに、ロードムービーの体裁をとられています。どのタイミングでこの構成を考えられたのでしょうか。


是枝:2016年にプロットを書いたときから、ブローカーを主人公にして赤ん坊を横流しして売りに行く話にしていました。その段階で旅の話にしようとは決めていましたね。


Q:本作では孤児のエピソードも多く出てきます。監督の作品を振り返ると、社会的に恵まれない子供たちにフォーカスがあたっている作品が比較的多くあります。そこに言及される理由はありますか。


是枝:うーん、なんだろうね(笑)。子供は撮っていると楽しいんですよね。『誰も知らない』(04)で柳楽優弥くんが演じた役や、『海街diary』(15)で広瀬すずさんが演じた役など、僕が好んで描きたいと思う子供は、「子供時代」を奪われた子供らしくない子供が多いんです。それは、社会的事情や家庭的事情など、いろんな事情で奪われている。その子供たちにどうしても目がいってしまうんです。 



『ベイビー・ブローカー』© 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED


Q:映画の中では、登場人物たちが血の繋がっていない擬似親子関係に(意図せず)なる場面が多く出てきます。その組み合わせと頻度はかなり多くて印象に残りますが、その辺のバランスは意識されたのでしょうか。


是枝:そうですね。しかもドンスは自分を捨てた母親とソヨンを重ねたりもしている。年齢が逆転しているのに親子関係になっているのも面白いかなと。


Q:擬似親子関係がより印象的になる観覧車のシーンはとても好きでした。


是枝:あの観覧車のシーンは僕も好きですよ(笑)。




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