2021年、『ある用務員』『ベイビーわるきゅーれ』『黄龍の村』『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』と、立て続けに発表した作品が話題となった若干26歳の映画監督、阪元裕吾。それぞれの作品のトーンや規模は異なるものの、全ての作品で目を見張るのは、アクションの“キレ”。シリアスな内容でもとぼけた内容でも、一旦アクションシーンになるとその本気度がヒリヒリと伝わってくる。
本作『グリーンバレット』は、『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』の続編。前作では、阪元監督の盟友、伊能昌幸が演じる伝説の殺し屋国岡をモキュメンタリーで描いたが、今回はその国岡が殺し屋見習い6人を合宿で訓練することに…。見習い6人を演じるのは、2021年ミスマガジン受賞者の和泉芳怜、山岡雅弥、天野きき、辻優衣(辻は一点しんにょう)、大島璃乃、内藤花恋。この6人と阪元監督と伊能は一体どんな化学反応を起こしたのか? 阪元監督と伊能のアクション映画に対する思いとは? 二人に話を伺った。
Index
前作上映前に決まった続編
Q:本作は『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』の続編ですが、制作の発端を教えてください。
阪元:『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』の宣伝写真を撮っているときに、ミスマガジン6人で映画を撮りたいとキングレコードさんが話してくれたんです。「だったらこの国岡でやりましょうよ」と言ったら、「いいね!」となって、その日のうちに「国岡が教官となって6人を育てる」みたいなところまで話が盛り上がった。その後すぐにプロットを書いて、2週間後には企画がスタートしていました。
Q:では上映前の宣伝準備の段階で、すでにこの続編の話が出ていたと。
阪元:そうですね。国岡が買い物袋と拳銃を持って一人で立っているポスターがありましたが、まさにあの写真を撮ってるときでした。
『最強殺し屋伝説国岡』予告
Q:その時点で続編のアイデアはあったのでしょうか?
阪元:ありました。すでに色んな話を3~4個考えていたところに、このミスマガジンの話をもらったので「じゃあ合宿編ですね」みたいな感じで、そのまま『グリーンバレット』を作りました。国岡で今後も色んな企画が出来れば嬉しいですね。
Q:今回は前回と同じくモキュメンタリーの体裁としつつも、劇映画の要素が強めです。そのあたりのバランスは意識されましたか?
阪元:前作はアドリブがとても多く、現場で脚本からかなり脚色されていました。一方で今回の『グリーンバレット』はちゃんと脚本がありましたが、ミスマガジンの6人は演技がほぼ初めてだったので、4カメで撮ったりもしました。彼女たちが緊張しないような環境を作ることを心がけましたね。ただ本人たちは「今のテイクうまくいかなかったな~」と自分でNG出したりして、現場は結構面白かったです。
『グリーンバレット』©2022「グリーンバレット」製作委員会
Q:ではテイクなどもあまり重ねなかったのでしょうか。
伊能:テイクはそんなに重ねてないですね。アクションシーンで「もうちょいやってみよう」とトライするくらいだったと思います。
阪元:基本的にはどんどん撮っていった感じでした。僕からこうしてくれっていうのがあまりないせいか、アドリブも多くなりがちになる。そうなると必然的にNGは出にくくなるんですよ。あとは、沖田役の内藤花恋さんが「噛んだー!」って叫び出すことが何回もあったり、神里役の天野ききさんも結構騒いだりしてましたね(笑)。