女性に寄り添った作品を。参考にしたいのはマイク・ミルズ監督
Q:いまお話しいただいた想いで映像のプロデュース業を始め、そこで経験された「大変さ」が、冒頭の藤井さんとのお話につながってくるのですね。
MEGUMI:いままでの作品に対しては、全てに携わる形でした。それこそ監督と喫茶店で「この企画をやりたいんだ」と話すところから始まって、じゃあこれをどこに持っていこうか、テレビ局なのか制作会社なのかを話し合い、資金を集めて脚本を作って……。そうやって関わる人がどんどん増えていくと、「濃度の違い」という問題が出てきます。皆さんアーティストですから主張も結構強いですし(笑)、お金が集まらないかも……という不安があるなかで、クリエイティブはどうしていこうかという打ち合わせが同時多発的に発生するんです。
テレビ局にしろ配給会社にしろ、それぞれ守るべきものはあるでしょうし、「別に私たちはお金儲けしたいわけじゃないんだけど全然進まないな……」ということが常にあって、本当に悩ましいし大変でした。だからこそクランクアップしたときに泣けちゃうところもあるかなとは思いますが。
そんななかBABEL LABELに入って、仲間ができたことでそうした心細さがなくなり、本当にありがたく思っています。
Q:今現在MEGUMIさんが面白いと感じる企画やクリエイターは、どういったものでしょう。
MEGUMI:BABEL LABELはザ・男祭りな会社なので(笑)、自分の役割としては女性の痛みや想いに寄り添うような作品をマストでやっていきたいと思っています。自分自身が母であり、芸能界を女性として歩んでいくなかで感じた、ケアが足りていないという想いを含めた経験値を生かさない手はないですよね。
そういった想いがあるうえで、非常に参考になるのがマイク・ミルズさん。彼は『人生はビギナーズ』(10)、『20センチュリー・ウーマン』(16)、『カモン カモン』(21)と、毎回女性を描いていますよね。母親、愛、異なる世代の女性たちを男性が描くというコンセプトも好きですし、リラックスしているけどそこはかとないお洒落感がありストーリーも本当に素敵なので、ああいった作品をいつか作れたらと思っています。
クリエイターでいうと、『AFTERGLOWS』(22)の木村太一監督は一緒に色々やっていきたいなと思っていますし、以前一緒にショートフィルムを作った内山拓也監督もそう。木村さんとは運命的な出会いをしましたし、内山さんは「そこまで考える?」と病的なほどこだわる人ですが、憎めない人柄がすごく好きです。
Q:僕自身マイク・ミルズ監督にめちゃくちゃ影響を受けているので、非常に納得です。作り手・受け手にジェンダーバイアスが発生しない稀有な方ですよね。
MEGUMI:「女性色」が強くなってしまうと拒絶反応を起こす人がいるということも当然理解していますし、表現にはすごく気を付けないといけないと思っています。マイク・ミルズさんのような形で出来たらすごく良いよな、伝わるよなと感じています。