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スタンリー・キューブリック監督作品まとめ 完璧主義者で厭世主義者、20世紀最後の巨匠

(c)1968 Turner Entertainment Co. All rights reserved. © 1971/Renewed © 1999 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. (c)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. © 2012 Warner Bros. Entertainment Inc. Distributed by Warner Home Video. All rights reserved.

スタンリー・キューブリック監督作品まとめ 完璧主義者で厭世主義者、20世紀最後の巨匠

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スタンリー・キューブリック監督作品 1960年代



4.『スパルタカス』(60)197分


(c)Photofest / Getty Images


共和政ローマ期の剣闘士スパルタカスが、奴隷たちを率いてローマ軍に立ち向かった「スパルタクスの反乱」を、圧倒的スケールで描いた歴史スペクタクル。1960年アカデミー賞では4部門を受賞したものの、アンソニー・マン監督の代役として急遽呼ばれたキューブリックは作品をコントロールすることがままならず、「シナリオから俳優の選択まで彼らのいいなりだった」と恨み節。最後まで自分の作品として認めようとはしなかった。とはいえ、制作費1,200万ドルに及ぶ超大作を30歳の新人フィルムメイカーが完成に漕ぎつけただけでも、特筆に値する一本といえるだろう。共産主義者として長い間ハリウッドから追放されていた脚本家のダルトン・トランボが、久々に実名でクレジットされた作品でもある。




5.『ロリータ』(62)153分


(c)Photofest / Getty Images


『スパルタカス』で煮え湯を飲まされたキューブリックは、その反動から映画製作の全権を握ることを決意。その第一弾作品として選んだのは、中年の大学教授ハンバート(ジェームズ・メースン)が12歳の少女ロリータ(スー・リオン)に心奪われ、やがて破滅していくというセンセーショナルな愛憎ドラマ。謎の男クィルティを演じたピーター・セラーズの才能にキューブリックは心酔し、ほとんどの場面で即興演技を許したんだとか。メフィストフェレスの如きその存在感は、全フィルモグラフィーの中でも群を抜いている。クィルティが冒頭のシークエンスで語る「俺はスパルタカスだ。奴隷の解放にでも来たのか?」というセリフは、キューブリック自身への皮肉か。


もっと詳しく!:『ロリータ』100%キューブリック印、いまだに議論を呼ぶ問題作




6.『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(64)93分


(c)1963, renewed 1991 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.


最近は『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』とか、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』とか、絶対覚えられないくらいに長いタイトルの作品が多いが、キューブリック先生も負けていない。米ソの東西冷戦下を舞台に、核戦争の恐怖をシニカルに描いたブラックコメディ。ストレンジラブ博士、アメリカ大統領、イギリス軍大佐の三役をピーター・セラーズに演じさせてしまう発想といい、核爆発の映像にヴェラ・リンの「また会いましょう(We'll Meet Again)」を流すセンスといい、パンチの効いたキューブリックのユーモア感覚が満載。ラストシーンでストレンジラブ博士が叫ぶあの一言を初めて聞いた時は、椅子から転げ落ちそうになりました。


もっと詳しく!:『博士の異常な愛情』シリアスドラマをブラック・コメディへと変貌させたキューブリックの革新性




7.『2001年宇宙の旅』(68)149分


(c)1968 Turner Entertainment Co. All rights reserved.


スタンリー・キューブリックがSF作家アーサー・C・クラークとタッグを組んで挑んだ、究極のセンス・オブ・ワンダー。巨大な石板モノリス、骨を放り投げる猿人、地球を見下ろす巨大な胎児(スター・チャイルド)と、映画史レベルで有名なシーンのつるべ打ち。人間とは何か?神とは何か?科学技術が辿り着く先とは?という実存的・哲学的な問いが、驚異的な映像体験を通して綴られる。人工知能HAL9000が反乱を起こすという展開は、本格的なAI時代に突入した現代の視点で見ると、よりリアリティをもって感じられるかも。キューブリックが本作のプロダクション・デザインを手塚治虫に依頼したものの、多忙を理由に断られたという有名な逸話もアリ。


もっと詳しく!:『2001年宇宙の旅』キューブリックが徹底研究した作品と、集められたスペシャリストたち




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