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ジェームズ・キャメロン監督作品まとめ SFとアクションを駆使して人類に警鐘を鳴らし続ける

© 2024 20th Century Studios. (c)Photofest / Getty Images © 1997, 2024 Paramount Pictures and 20th Century Studios (C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ジェームズ・キャメロン監督作品まとめ SFとアクションを駆使して人類に警鐘を鳴らし続ける

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5.『アビス』(89)140分/171分(完全版)


アビス』3月27日(水)デジタル配信開始(購入/レンタル)4月10日(水)4K UHD発売 © 2024 20th Century Studios. 発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン


アメリカの原子力潜水艦が、深海油田発掘基地付近で行方不明に。採掘基地のクルーらと海軍ダイバー・チームは捜索のため、暗黒と寒冷と恐るべき水圧で人類を拒むアビス<海溝>へと向かう。そこで待っていたものは、海底深くに生活している未知の生命体だったーー。


『ターミネーター』『エイリアン2』でハリウッドのヒットメイカーとなったキャメロンが挑んだ、海洋SFの超大作。製作費は約5,000万ドルとも、7,000万ドルとも言われているが、興行収入は芳しくなく、実質的なデビュー作の『ターミネーター』以降、キャメロンが手がけた劇映画で唯一ヒットしなかった作品。


『ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密』(03)、『エイリアンズ・オブ・ザ・ディープ』(05)と、深海にまつわるドキュメンタリーを2本も撮るほど、キャメロンは海洋・深海好きで、少年時代にはすでにダイビングの資格も取得していた。そのキャメロンが少年時代から温めていた物語が『アビス』の元となっている。劇中に出てくる液体酸素も少年時代からすでにその存在を知っており、液体酸素につかったネズミが溺れることなく生還するシーンは、実際の液体酸素を使って撮影された本物である。


そして本作の重大事項とも言えるのが、キャメロン初のCG導入。キャメロン初というよりも、そもそも映画にCGが使われた事例は当時数えるほどしかなかった。透明な水の形状をした知的生命体の表現に悩んでいたキャメロンはCGでの表現を決断。ILM所属の視覚効果スーパーバイザーであるデニス・ミューレンとともに、映画CG黎明期にもかかわらず圧倒的クオリティの知的生命体を作り上げた。この技術は次作『ターミネーター2』へと着実に受け継がれていく。また本作で経験した水中撮影や海中での表現は、その後『タイタニック』『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』でも活用されている。


また、公開時には入れることができなかった津波シーンを追加した完全版が、93年にリリースされた。これにより、核兵器を持つ人類への警鐘がより強い内容となった。


もっと詳しく:『アビス』の映画史的意義。それは“ジェームズ・キャメロンとCGの邂逅”




6.『ターミネーター2』(91)137分


『ターミネーター2』(c)Photofest / Getty Images


サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)がターミネーターに襲われた悪夢の日から10年。コンピューター・スカイネットと人類の戦争勃発を訴えるサラは精神病院に収容され、母親と引き離された息子のジョン(エドワード・ファーロング)は不良少年になっていた。そんなある日、未来から2体のターミネーターが送り込まれてくる。1体はジョンを抹殺するためにスカイネットが送り込んだ、液体金属のT-1000(ロバート・パトリック)。そしてもう1体はジョンを守るために未来のジョンが送り込んだ10年前にサラを襲ったものと同じ型のT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)。ジョンを抹殺するため執拗に追いかけてくるT-1000、サラとジョン、そしてT-800は逃げ切れることができるのか、そして人類の未来はーー。


キャメロンは『ターミネーター』の権利を元妻でプロデューサーのゲイル・アン・ハードに1ドルで譲っていたこともあり、映画化の権利はさまざまな人の手に渡ってしまっていた。その権利を高額で買い集めたのが、当時急成長していた映画製作会社カロルコ・ピクチャーズのマリオ・カサールとアンドリュー・G・ヴァイナ。『トータル・リコール』(90)に続く、シュワルツェネッガー主演の超大作を作ろうとしていたカロルコは、『ターミネーター』続編の監督・脚本をキャメロンに打診。当時史上最高額の製作費(最終的には1億ドルを超えたと推定される)で『ターミネーター2』が作られることとなった。


『エイリアン2』でも見られた、状況や場所の構造を活かしたアクション演出が今回も炸裂、そこに巨額の製作費が掛け合わされ、“史上最高のアクション映画”では必ず上位に入る傑作アクション大作が誕生した。圧倒的強さを誇った悪役が味方になるという驚き、その悪役を遥かに超える強さを持つ新型の登場、使命に目覚めた女性の肉体的変貌、未来のリーダーとなる少年の説得力、などなど、アクション・エンターテインメントとしての優れた構成は、本作を世界的大ヒットに導いた。そして、液体金属の新型ターミネーターT-1000を作り上げたCGは、その後に公開される『ジュラシック・パーク』(93)と共に、ハリウッドにCG革命を起こすこととなる。


ド派手な銃撃戦やカーチェイス、爆破シーン満載の映画だが、キャメロンは本作を「平和をテーマにしたバイオレンス映画」と位置付けている。映画のラストでサラ・コナーが語る言葉には、キャメロンの一貫したテーマである“テクノロジーに依存しすぎている人類への警鐘”がしっかりと込められている。


もっと詳しく:『ターミネーター2』「進化」と「深化」ジェームズ・キャメロンがアップデートさせたものとは



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