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デヴィッド・リンチ監督作品まとめ 永遠に正体を掴むことのできない、ナチュラル・ボーン・アーティスト

(c)Photofest / Getty Images (C) 1984 DINO DE LAURENTIIS COMMUNICATIONS. ALL RIGHTS RESERVED. (C)2014 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

デヴィッド・リンチ監督作品まとめ 永遠に正体を掴むことのできない、ナチュラル・ボーン・アーティスト

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4.『ブルーベルベット』(86)121分


(C)2014 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.


青い空、赤いチューリップ、白いフェンス。アメリカの牧歌的な風景で幕を開ける『ブルー・ベルベット』は、やがて主人公ジェフリー(カイル・マクラクラン)が草っぱらで切断された人間の耳を発見したことから、ミステリアスなダークサイドへと足を踏み入れていく。


呼吸マスクを装着して「ママ、ママ」と叫ぶデニス・ホッパー、「Hit me!」を連呼するイザベラ・ロッセリーニ、「愛だけが闇の世界を変えるの」と夢見る表情で語るローラ・ダーン。ボビー・ヴィントンが歌う甘ったるい「Blue Velvet」のメロディーにのせて、裏ディズニーランド的悪夢が描かれていく。盟友の作曲家アンジェロ・バダラメンティの初参加作品であり、間違いなくデヴィッド・リンチにとって転換点となった代表作。


もっと詳しく:『ブルーベルベット』で開花した、デヴィッド・リンチの鬼才たりうる才能の片鱗




5.『ワイルド・アット・ハート』(90)124分


(c)Photofest / Getty Images


バリー・ギフォードの同名小説を映画化した、カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。セイラー(ニコラス・ケイジ)とルーラ(ローラ・ダーン)のカップルが、追っ手から逃れるためにカリフォルニアを横断する、愛と地獄の逃避行ムービー。


『俺たちに明日はない』(67)、『ゲッタウェイ』(72)、『トゥルー・ロマンス』(93)、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(94)など「逃避行もの」は数多く作られてきたが、『ワイルド・アット・ハート』の過激なバイオレンスっぷりは頭一つ抜けている。特にウィレム・デフォー演じる殺し屋ボビーは、エキセントリックな暴力性がベタベタと貼り付いている。その残忍さといい死に様といい、爆裂演技が頭にこびりついて離れない。そして、ラストで流れる「ラヴ・ミー・テンダー」のえも言われぬ余韻。これぞリンチ節。


もっと詳しく:デヴィッド・リンチ監督作『ワイルド・アット・ハート』が、『オズの魔法使』を引用している理由とは




6.『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』(92)135分


(c)Photofest / Getty Images


社会現象を巻き起こしたドラマ『ツイン・ピークス』(90-91、17)。本来は第3シーズンの制作も予定されていたが、視聴率の低下と制作費の高騰を懸念した放送局のABCが、第2シーズンでの打ち切りを決定。デヴィッド・リンチは自ら生み出したドラマへの愛着を捨て切れず、前日譚となる劇場版を制作する。クーパー捜査官役のカイル・マクラクランが出演に後ろ向きだったため、出番は大幅に減少。その代わり、クリス・アイザック、キーファー・サザーランド、そしてデヴィッド・ボウイと、闇の騎士にふさわしい面々が集合した。


第2シーズン最終回でローラ・パーマーは「25年後に会いましょう」と語りかけたが、まさにその25年後となる2017年に、第3シーズンが放送。『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』は、四半世紀の空白を埋める橋渡し的作品となった。




7.『ロスト・ハイウェイ』(97)135分


(c)Photofest / Getty Images


アメリカンフットボールのスーパースターが、元妻と友人を殺害した罪に問われたO・J・シンプソン事件。アメリカを揺るがせた大騒動に興味を抱いたデヴィッド・リンチは、「彼の別人格が彼女を殺害し、その記憶を消したに違いない」という驚天動地の結論を導き出す。『ロスト・ハイウェイ』と名付けられた世にも奇妙なフィルムは、この謎理論を元にして作られた。


身に覚えのない妻殺しの罪で独房に入れられたフレッド(ビル・プルマン)。ところが翌朝になるとフレッドは煙のように消え失せ、ピート(バルサザール・ゲティ)という別人が収監されていた。いつものごとく、理由不明にして理解不能のストーリーライン。顔面白塗りの男=ミステリーマンの存在が、この映画をさらに奇妙なものにせしめている。


もっと詳しく:『ロスト・ハイウェイ』実在の事件から着想を得た記憶の乱れというテーマ




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