トランクスをはかせた理由
Q:デヴィッド・コレンスウェットをスーパーマン/クラーク・ケント役に選んだ理由を教えてください。
ガン:今回の制作プロセスのなかで、僕がもっとも心配していたのはスーパーマンのキャスティングだった。ところがその初日に、デヴィッドとレイチェル(ブロズナハン/ロイス・レイン)のオーディションテープを観ることが出来て、ふたりをとても気に入ったんだ。そして、実際にデビッドがオーディションに来たとき僕は「何てことだ! 彼はめちゃくちゃスーパーマン・ルックをしているじゃないか!」ってね。しかもデヴィッドは撮影中も素晴らしかった。とても自分に対して厳正で、彼ほど厳しい俳優を知らないと言ってもいいくらいだった。ストーリーを理解するため、キャラクターを信じるため、毎日僕に迫ってきた。だから、スクリーンの中で彼がやることはすべて真実。リアルに感じない瞬間は一切なかった。
『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI
Q:今回のスーパーマンのコスチュームはコミックに近いですね。久々にトランクスもはいています。
ガン:コスチュームも大きな問題だった。濡れたTシャツみたいに筋肉に張り付くのはイヤだったし、コスチュームの中から立派な筋肉を感じさせるのも好きじゃない。エアブラシで描いたような腹筋も御免だった。本当に長い時間を費やして進めて行き、カラフルなスタイルに落ち着いた。なぜカラフルかと言えば、子どもたちを怖がらせたくないから。目から赤いビームを出し、ひと息で車を吹っ飛ばせるからこそ、親しみやすさが必要だと考えたんだ。それはスーパーマンの生みの親、ジェリー(・シーゲル)とジョー(・シャスター)のオリジナルのビジョンにも通じている。彼らはスーパーマンのルックにプロレスラーを意識していたというから。
そして、最大の問題はトランクスをどうするか? それは本当に悩んだことだった。ザック(・スナイダー)も「トランクスのあるバージョンを何百回も試したけど、上手くいかなかった」と言っていたからね。コスチュームデザイナーとトランクスの有無について悶々としていたとき、デヴィッドにどう思うか尋ねてみた。彼は「僕はトランクスをはいたほうがいいと思う。なぜならスーパーマンは宇宙から来たエイリアンで、スーパーパワフルな存在。子どもたちから怖がられるのはイヤだろうから、親しみを感じるコスチュームを着るんじゃないだろうか」って。まさにそうだよ! その瞬間、決めたんだ。トランクスをはかせるってね。