プロに囲まれた現場へ
Q:本作が監督して5本目だったとのことですが、制作環境や規模などそれまでと違いはありましたか。
山下:全然違います。これが一番大きかったし、総予算までは聞いていませんが、とにかく35mmフィルムで撮ったのが初めてでした。それまでは自主映画で16mmという形でやっていたので、規模的には初商業映画くらいの思いでやっていました。
Q:その規模の撮影が始まってみて、現場はいかがでしたか。
山下:それまでは大学からの仲間と映画を作っていたのですが、この撮影では僕だけが現場に入って、周りのスタッフはカメラマンも照明も録音も全てプロの人たち。助監督ですら年上だったし、とにかくナメられたらダメだと気を張ってましたね。この頃はまだストイックというか真面目だったので、現場中は酒も飲まずみたいな(笑)。今思えばバカだなと思うのですが、それぐらい気合入れてやってました。
『リンダ リンダ リンダ 4K』©「リンダ リンダ リンダ」パートナーズ
Q:撮影の池内義浩さんとはどのような経緯でご一緒されることになったのですか。
山下:この映画は東京初だったこともあり、ほとんどのスタッフはプロデューサーに色々紹介してもらいました。当時の池内さんは、たむらまさきさんのチーフをやっていて、そろそろ技師としてデビューするというタイミングでした。「池内さんのカメラすごくいいから!」と紹介してもらいましたね。
Q:それまで一緒にやっていた撮影の近藤龍人さんは助手にまわっていたのですね。
山下:近藤くんは一番下の見習いで入っていて、僕が演出している横で彼は怒られているわけです。「同級生、怒られてんなぁ」と思いながらやってました(苦笑)。でも確か、近藤くんが自分で入りたいって言ったと思います。近藤くんは自主映画ではカメラを回してましたが、プロの現場で助手をやる経験がなかったので、多分本人もすごくやりたかった時期だったのかなと。脚本も向井で同級生だし、現場には近藤くんがいる。なんか不思議な感じがありつつ、それも含めてすごく緊張もあって、とにかく気を張ってました。向井も現場には何度か来てましたね。脚本作りは一緒にやっていましたが、向井は途中から入ってきたんです。最初は宮下和雅子さんと2人でやっていたのですが、途中から向井が入ってくれて、そこからはずっと向井がやっていたという感じでした。