2019.11.01
『ルディ・レイ・ムーア』あらすじ
70年代のLAでくすぶっていたコメディアンのルディ・レイ・ムーアだが、とことん下品に演じたキャラ”ドールマイト”が大当たりし、彼主演の映画製作にすべてを懸ける。
Index
- 俺の名前はドールマイト
- 『ドールマイト』とブラックスプロイテーション
- 高い評価の仕掛け人たち
- 登場するLA黒人文化の歴史的建造物
- エディ・マーフィが尊敬する先駆者たち
- ルディ・レイ・ムーアとエディ・マーフィ、不死身のカムバック王
俺の名前はドールマイト
「俺の名前はドールマイト。クソを消すのが俺の仕事」ーー ドールマイトの口上である。エディ・マーフィ主演『ルディ・レイ・ムーア』(19)の原題は、『Dolemite is My Name(俺の名前はドールマイト)』。ルディ・レイ・ムーアという役者が生涯に渡って演じたキャラクターがドールマイトで、「クソを消すのがドールマイトの仕事」だ。
本作は、エディ・マーフィが演じたルディ・レイ・ムーアによって、ドールマイトというキャラクターがどのようにして生まれたのかが描かれる。かなりのB級映画マニアならば、ルディ・レイ・ムーアの名前を知っていると思うが、今回初めて聞く人も多いであろう。そして知らないからと、Googleでその名前を検索して後悔することになる。彼がリリースした下品なアルバムジャケットの写真が検索結果として大量に出てくるからだ。
映画評論家デヴィッド・ウォーカーは言う。「人は2種類に容易に分けることができる。ルディ・レイ・ムーアの映画を見たことがある人と、そうでない人。見たことのある人は、見たことがない人より断然にカッコいいのですぐ分かる」と。
『ルディ・レイ・ムーア』予告
ルディ・レイ・ムーアは、確実にエディ・マーフィの心を動かした。そして今回の『ルディ・レイ・ムーア』を見た者も、エディ・マーフィの演技を通じて、確実にこの男に心を動かされることになる。本作には、不器用ながらも懸命に生きた中年男の生きざまと、映画作りの楽しさ、そして70年代のアンダーグラウンドな世界がふんだんに詰まっているからだ。エディ・マーフィのコメディ愛とコメディアンの先駆者たちへのリスペクトも感じられ、エディ・マーフィはこの作品でさらに映画俳優として飛躍していくことになるだろう。
アカデミー賞やらゴールデン・グローブ賞などの賞レースで、エディ・マーフィの名前をまた聞けることになるはずだ。何せ、本作品が批評家向けにプレミア上映された後、批評家たちの評価が集まるロッテン・トマトにて、98%(10/23日付け)の高い評価を受けているからだ。