(C)2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film
『ターミネーター:ニュー・フェイト』『T2』の「正統な続編」は、紛うことなき“本物”だった!(with IMAXレーザー鑑賞レポート)
2019.11.08
無上の愛を感じさせる『ターミネーター2』とのリンク
前項で述べた「愛」について、サラとT-800のパートについても語りたくはあるのだが、鑑賞時のお楽しみということで本稿では省くことにする。ただ、2人が経験する異なる種類の愛、その2つがぶつかるドラマが、作品全体のエモーションの“核”を形成している、ということは付け加えておきたい。
「心」というテーマは、『ターミネーター2』から地続きのものとしてしっかりと描かれており、それ故に『ターミネーター:ニュー・フェイト』は、続編としてしっかりと地に足の着いた映画となっている。例えば『ターミネーター2』でジョンが体現した「合理性よりも情を選ぶのが人間」という描写は、守られる対象であることを理解しながらも、グレースやサラのために身体を張ってしまうダニーへと受け継がれている。
その他にも、ファンならニヤリとしてしまう“リンク”が、本作には大量に詰め込まれている。冒頭、いきなり襲い掛かってきたREV-9をプレス機で押しつぶす展開は『ターミネーター』のラストを彷彿とさせるし、お約束のカーチェイスでは、これまでのタンクローリーに代わってブルドーザーが登場。グレースがダニーに「運転を代わって」と言い、背後から追いかけてくるREV-9を食い止めようとするシーンは、『ターミネーター』『ターミネーター2』でも出てきた展開だ。
『ターミネーター2』予告
REV-9の「液体金属」という設定はまんま『ターミネーター2』のT-1000の進化版だし、「触れることでコピーでき、コピーされた対象は殺害される」という設定も同じ。また、サラがハイウェイに登場するシーンでは、『ターミネーター2』のあまりにも有名な発砲シーンに出てくるバラのような赤い花が揺れている。
武器庫のシーンの描き方は、『ターミネーター2』でT-800がニヤッと笑うシーンを再現したようにも見え、戦闘時に仲間のために弾を装填するダニーは、『ターミネーター2』のジョンの役割と同じだ。前2作と同じようにT-800の腕がはがれるシーンが登場し、決戦の舞台はやはり工場。さらに、「There is no fate.(運命などない)」というセリフが重要なシーンで流れる。
他にも、『ターミネーター2』で流れていた楽曲がとあるシーンでさりげなく使用され、「犬はターミネーターを見分けられる」という設定の逆を突き、T-800が犬と戯れるというシーンで時間の経過を示すなど、分かりやすいところからそうではない部分まで、『ターミネーター』『ターミネーター2』とのリンクが無限大に広がっている。
『ターミネーター:ニュー・フェイト』(C)2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film
進化点で言うなら、未来からの転送シーンに注目だ。原理や描写は基本的に一緒なのだが、今回は「出現前に周囲の空気が一瞬にして凍る」という演出が追加。それによってよりSF感が増大した。
また、未来での戦闘シーンもド派手なものへと変わっており、「水中から浮上してくるターミネーター」「人類の抵抗軍が乗る戦闘機」「追尾型の爆弾」「エイリアンのような新型ターミネーター」など、観る者を高揚させる描写が続々。当然ながらその全てに『ターミネーター』『ターミネーター2』が紐づいているため、道を踏み外すこともない。キャメロンの存在が安心材料となっているだけでなく、荒唐無稽なものとならないように1つひとつ、細心の注意を払って描いていることが、ひしひしと伝わってくる。