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生き様は心で決まる――『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が示した、シリーズの“魂”

生き様は心で決まる――『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が示した、シリーズの“魂”

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レイの「心の成長」が描かれなかった理由



 とはいえ、落ち込んでばかりもいられない。ここからは、なるべくネタバレを挟まずに『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の物語の中身を紹介していきたい。


 まずは、簡単に続3部作の歩みを振り返ろう。銀河の果てで、スクラップ集めをして生計を立てるレイ(デイジー・リドリー)。彼女は幼いころに親に捨てられ、当時の記憶がほぼない。そんなある日、伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)の居場所を知るドロイド、BB-8と遭遇したことから、彼女の運命は大きく回り始める。


 そのころ銀河は、圧倒的な武力を誇る軍事組織ファースト・オーダーとレジスタンスが戦いを繰り広げていた。レジスタンスを率いるのは、これまでのエピソードでも中心人物だったレイア姫(キャリー・フィッシャー)。何の因果か、ファースト・オーダーの急先鋒はレイアとハン・ソロ(ハリソン・フォード)の息子であるカイロ・レン(アダム・ドライバー)だった……。



 壮絶な戦いに巻き込まれたレイは、自身に眠る不思議な力の胎動を経験する。それは、架空の産物だと思っていた「フォース」によるものだった。なぜフォースを有しているのか? 自分は何者なのか? 苦悩しつつもルークのもとで修業を積んだレイは、最後のジェダイとして歩み始める。一方カイロは、父ハンを殺して修羅に落ちるも、心のどこかで葛藤を抱えていた。光か、闇か。どちらが居場所なのか。レイとカイロは2人だけの絆を感じながら、背負う者の違いから対立。共闘も経験したが、溝は埋まらないままだった。


 そして、本作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の物語が始まる。この映画で描かれるトピックは、大きく分けて3つ。「レイの出生の秘密」「カイロの生きざまの決着」「銀河の命運」だ。詳細は観てのお楽しみということで省くが、前2作でじっくりと準備されてきた仕掛けが、大きく花開いていく。


 レイの出生の秘密については完全にネタバレになってしまうため、ここでは割愛する。代わりに、本作での彼女の「進化」について紹介しよう。レイの秘密を紐解くヒントにもなるはずだ。


 レイのフォースは一層練り上げられ、「空中に浮く」「相手を洗脳する」といった、これまでにない技までも可能に。最早、普通のジェダイを超えた強大なパワーなのだが、これが後々の伏線にもなっている。だが、これほどの力を持つ人物が偶然生まれたとは考えられない。レイは、いったい誰の血筋なのか? それが明かされたとき、本作の真のテーマ、「心の在り様」が立ち上がり始める。



 この「心の在り様」について少し補足すると、レイはこれまでの2作で、ずっと自らのアイデンティティに思い悩んできた。それは単純に「過去がない」ことからでもあるが、フィン(ジョン・ボイエガ)やポー・ダメロン(オスカー・アイザック)といった仲間を得て、母代わりのレイア、師匠のルークに囲まれても、つまり孤独から解放されてもなお、心の本当の居場所を見つけられない。それ故に複雑な生い立ちのカイロに共感を抱くのだが、レイはいわゆる紋切り型のヒーローとは大きく異なっている。光と闇の境目で、常に苦しんでいるのだ。


 例えば『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)において、レイはBB-8を売って金に換えようか、一瞬躊躇する。ルークとの修行中、過去を知りたいあまり簡単にダークサイドに落ちかける。本作でも、目的を達成するためなら、仲間に黙って独断で動いてしまう。気丈な女性のようでいて、非常に危ういポジションにいるのだ。


 レイの心の苦悩はシリーズを通して存在するが、「心の成長」はこれまでは不自然なほど描かれてこなかった。しかし、本作で彼女の出生が明らかになったとき、全ての点が線でつながるような展開が待っている。



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