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生き様は心で決まる――『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が示した、シリーズの“魂”

生き様は心で決まる――『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が示した、シリーズの“魂”

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成長し続ける「陰の主役」、フィン



 ここまで、レイとカイロの人物描写を中心に紹介してきた。最後に、本作が持つ「多様性」について少し記したい。


 とくに『スター・ウォーズ』続3部作において、意識的にダイバーシティが描かれている。たとえば俳優陣は白人・黒人・黄色人と世界各地から招集され、劇中ではあらゆる種族が描かれ、それぞれが協力している姿が「敵・味方関係なく」描かれている。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』でも、一瞬ではあるが同性同士の恋愛要素が描かれており、J・J・エイブラムス監督の「アクション」「ドラマ」「テーマ」「カラー」全てを黄金比で配分する手腕には圧倒される。


 ただこれはいきなり追加されたのではなく、元々の『スター・ウォーズ』自体が(銀河戦争を描いているにせよ)、差別という観点から観ると非常にピースフルなものだったことが大きいように思う。従来から顕著だったシリーズの「開かれた」世界観に時代のニーズが合致し、さらに「先」を見せることができたともいえるだろう。




 そしてまたこの「多様性」の部分を最も体現しているのが、陰の主人公ともいえるフィンだ。続三部作の大きなサプライズは、兵隊でしかなかったストームトルーパーに「人格」を与えたことだった。レイとカイロの苦悩のドラマに相克するように、フィンは3作を通して進化し続ける。「自分だけが生きられればいい」と思っていた脱走兵が、大志を抱いてレジスタンスに参加し、周囲から一目置かれて恋も経験し、中心メンバーになってゆく。実に美しい成長曲線を描いているのだ。生まれがどうであっても、ヒーローになれる。多様性の素晴らしさを、行動全体で証明している。


 最終作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』では、フィンのさらなる成長にもぜひ注目していただきたい。冒頭から狙撃手として非凡な才能を見せつける彼だが、その後も立場・能力共に大きく飛躍していく。フィンの存在が、作品全体の推進力にもなっているのだ。レイとカイロというメインの2人が「異端」であるが故に、彼を厚く描くことで王道感がしっかり担保される。


 さらにポーの過去も描かれ、彼が決してエリート街道を歩んできたわけではないことが明かされる。考えてみれば、レイも『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の序盤では最果てで底辺の生活を送っていた。タイトルは『スカイウォーカーの夜明け(RISE OF SKYWALKER)』だが、スカイウォーカーの名を冠しない3人が上に行く展開は、実に興味深い。虐げられた者たちが世の中を動かしていくという、シリーズの裏テーマにも合致する。




 新陳代謝や次世代の台頭という意味でも、この構造は実に効果的だ。続三部作自体、孫世代をメインに据えた物語であり、1944年生まれの“祖父母世代”ジョージ・ルーカスから1966年生まれの“親世代”エイブラムス監督にバトンが渡され、1992年生まれの“孫世代”リドリーやボイエガに繋がっていく流れそのものが、『スター・ウォーズ』シリーズの系譜とリンクしている。


 古きが作り、新しきが継ぐ。


 『スター・ウォーズ』の“魂”は、確かに未来へと継承されていた。



文: SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「シネマカフェ」「BRUTUS」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema


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作品情報を見る



『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

2019年12月20日(金)全国ロードショー

ウォルト・ディズニー・ジャパン

(C) 2019 and TM Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.


※2019年12月記事掲載時の情報です。

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