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『トロン』史上初の本格的CG映画、誕生への長い道のり (後編)

(c)Photofest / Getty Images

『トロン』史上初の本格的CG映画、誕生への長い道のり (後編)

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トリプルアイの担当箇所



 テイラーはブロートンや、『アニマリンピックス』(80)の元作画監督で、『トロン』制作当時はディズニーに所属していたビル・クロイヤー、同じくディズニーのジェリー・リースらと共に、ストーリーボードを描き上げる。そして、全15分間となる235ショットのアニメーションと、200ショットの合成用背景が、3DCGで必要になると見積もった。


 テイラーは、トリプルアイで『トロン』の全CGを手掛ける予定だったが、会社の本業であるハードウェアの売上げが不振となり、トップはCGに興味のない人物に代わってしまった。


 そして、映像制作を請け負うエンターテインメント・テクノロジー・グループに対する風当たりは日増しに強くなり、『トロン』のクランクイン前にホイットニー・ジュニアとディモスが辞めてしまう。マンパワーが大幅に減退したトリプルアイの生産能力では、この映画を期限までに完成させることは、とても無理という結論に達した。




 とりあえずトリプルアイは、主に物語の後半部分(約6分半)を担当することにした。彼らが手がけたCGは、サークキャリア、ソーラーセーラー、MCP(「Adam Powers」の顔をベースにしてモデリングされた)、および山脈や街並みである。しかし、Super Foonly F-1を使っても、1ポリゴンに1秒という、信じられないようなレンダリング時間が掛かっている。



RA&Aの担当箇所



 テイラーは、この作品に協力してくれる組織を探し、最終的に選ばれたのはRA&A、MAGI、デジタル・エフェクトの3社であった。


 テイラーの古巣であるRA&Aは、『スター・トレック』のために購入したE&S社のピクチャーシステム2(以下PS-2)を用いて、オープニングタイトルからロサンゼルスの夜景になるカット、および主人公フリン(ジェフ・ブリッジス)がデジタイズされてサイバー空間へ転送されるシーンを担当した。


 PS-2は、白黒のワイヤーフレーム(線画)しか表示できず、その画像を記録することもできなかった。そのため、モニター前にムービーカメラを置いて撮影し、オプチカルプリンターで着色や多重露光を行うことにより、35mm 8Pビスタビジョン映像として完成させる(最終的にSuper Panavision 70にブローアップされた)。


 一見、面のように見える箇所もあるが、ハッチングと言って、線をビッシリ敷き詰めることで表現している。デザインとディレクションはケニー・マーマンが担当した。



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