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別れと覚醒。『ワンダヴィジョン』が示した、新たなヒーロー誕生秘話 ※注!ネタバレ含みます。

© 2021 Marvel

別れと覚醒。『ワンダヴィジョン』が示した、新たなヒーロー誕生秘話 ※注!ネタバレ含みます。

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シット・コム調でなければならなかった理由とは?



 第9話の内容に踏み込む前に、第8話終了時点で明かされた諸々の事実を、整理しよう。大前提として、ヴィジョンは復活していない。彼はあくまで、ワンダが現実改変能力で生み出した幻だ。では、なぜワンダはそんなことができるほど、つまりこれまで以上にパワーアップしてしまったのか? それは、一つにはヴィジョンの死による精神的負荷、さらに「ヴィジョンとの終の棲家として購入していた土地に行きついた」ことが大きい(ここで、ウェストビューという土地の必然性が出てくるのが実に秀逸)。


 『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)後、ヴィジョンの亡骸を埋葬しようとしたワンダは、彼の肉体が運ばれたアメリカの公的機関S.W.O.R.D.を訪ねる(これは当然、MCUシリーズに登場するS.H.I.E.L.D.への目配せだ。「盾」の次は「剣」が登場するという流れ、ニヤリとさせられる)。しかしそこでは研究のためにヴィジョンの身体は「解体」されており、対面したワンダは「彼を感じられない」と絶望する。


 その後、ヴィジョンと愛を育む場所になるはずだったウェストビューにたどり着いたワンダは、精神的ショックから能力のタガがはずれ、町全体に現実改変能力を発動させたばかりか、この世界の中でのみ生きられるヴィジョン(限定的ヴィジョン)を作り上げてしまう。これが、ウェストビューで起こった騒動の発端だ。



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 つまりワンダは、あまりに過酷な現実に耐えかねて、発現した能力で理想郷を作ってしまったということ。では、なぜ1960年代風のシット・コム映像からスタートした(本作は回を追うごとに60年代、70年代と映像が現代に近づいていく)のか? そこには、まだ多くは語られていなかったワンダの過去が関係していた。


 ワンダは元々、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(15)でアベンジャーズの前に立ちはだかる、ソコヴィアの戦争遺児(ちなみに、彼女の両親の命を奪ったのは、トニー・スタークがかつて開発した兵器だ)。悪の組織であるヒドラに改造され、超人的な能力を得たという設定だったが、『ワンダヴィジョン』第8話ではその詳細が紐解かれると共に、彼女の両親のエピソードが描かれる。なんと、ワンダの父親は海外のDVDソフトを売る仕事をしていたのだ。その関係で、彼女の家にはアメリカのシット・コムがあふれていた。ワンダにとって、家族で『ザ・ディック・ヴァン・ダイク・ショー』を観ることが一番の幸せであり、団らんの象徴だったのだ。


 しかし、紛争に巻き込まれ両親は死亡。弟であるピエトロ(アーロン・テイラー=ジョンソン)をも失ったワンダは、アベンジャーズ入りしてからも懐かしのシット・コムを観続け、彼女の身を案ずるヴィジョンが共に「観賞タイム」を設けることで少しずつ回復に向かっていた。だが、今度は最愛のヴィジョンを失ってしまう。再び自我が崩壊するほどの絶望に包まれた際、生み出してしまった世界が「思い出」の象徴であるシット・コム調になるのは、実に理にかなっている。




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