今後の展開を期待させるエンドロール後の映像2種
冒頭に述べた「『ワンダヴィジョン』とは、何だったのか?」だが、スカーレット・ウィッチの下りで、本作の“核”が明かされる。ワンダというアベンジャーズの中で異端のキャラクターが、過去という原点(オリジン)に立ち返り、自らの宿命を理解し、ヒーローとして自己を確立する――。いわば、「スカーレット・ウィッチ」というヒーローの誕生物語だったのだ。
アグネスはワンダに「ヒーローは人々を苦しめない」と迫り、ワンダは町に閉じ込めてしまっていた人々を解放する。だが、町にかかった魔法を解くことは、限定的ヴィジョンや子どもたちが消滅することを意味していた。しかし彼女は、自己犠牲の精神を発揮し、愛する者たちとの別れを選ぶ。
かつて彼女は「一歩外へ出たら、君はアベンジャーズだ」とクリント/ホークアイ(ジェレミー・レナー)に鼓舞され、アベンジャーズ入りを果たしたが、ヒーローとしての自我は薄いままだった。少しずつ成長し、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』では全世界の宇宙のためにヴィジョンを犠牲にする道を選択したが、本作においてついにヒーロー=スカーレット・ウィッチとして覚醒したのだろう。ルーン魔術まで修得し(『マイティ・ソー』シリーズとつながるのだろうか?)、アベンジャーズの中でもより強力な存在に進化した彼女の今後が、気になるところだ。
『ワンダヴィジョン』© 2021 Marvel
ちなみにエンドロール後には、人里離れた場所で静かに暮らすワンダの姿が描かれるのだが、“分身” がダークホールドを読み解いている不可解な描写も挟まり、さらに消滅したはずの子どもたちが助けを呼ぶ声が聞こえるなど、謎めいた展開が示唆されている。今度こそ、がっつりマルチバースになだれ込んでいくのか? その場合、引き金となるのはスカーレット・ウィッチなのか? ヴィジョンの記憶を受け継いだ新生ヴィジョンの存在も描かれており、まだまだ物語は膨らんでいきそうだ。
覚醒といえば、『キャプテン・マーベル』(19)の登場人物マリア(ラシャーナ・リンチ)の娘モニカ(テヨナ・パリス)が一連の事件の中で特殊能力を手にし、宇宙に行くことになる、という展開も描かれた。原作ではヒーローとして活躍しており、彼女は新生アベンジャーズに加わることになるかもしれない。