『ワンダヴィジョン』あらすじ
舞台は『アベンジャーズ／エンドゲーム』後の世界。とある郊外の街に引っ越してきたのは、長い恋愛の末、晴れて結婚したスカーレット・ウィッチことワンダ・マキシモフとヴィジョン。60年代のアメリカを想起させるポップでお洒落な洋服に身を包んだ2人は、夢にまでみた結婚生活を手に入れ、幸せな日々を送っていた。『アベンジャーズ／インフィニティ・ウォー』（2018）のヴィジョンの死…しかし、『エンドゲーム』後の世界でヴィジョンはワンダと共に幸せに暮らしている。すべてが見かけ通りとは限らない――2人は徐々に自分たちの目に見えている全てが”真実ではない“のではと疑い始める。
Index
- コロナ禍で予定変更を余儀なくされたMCU
- ワンダとヴィジョンのこれまでの歩み
- 伝説的コメディ俳優をコンサルタントに招聘
- 画面内に点在する“違和感”の正体は？
- 【フェーズ4】のキーワード「マルチバース」
コロナ禍で予定変更を余儀なくされたMCU
2008年の『アイアンマン』から始まった、マーベル・シネマティック・ユニバース（MCU）。アイアンマンやキャプテン・アメリカといったヒーローたちが活躍する単独の映画と、彼らが共闘するオールスター映画である『アベンジャーズ』シリーズの2つで構成された、映画史上最大のプロジェクトだ。MCUの特長は、個々の作品すべてが繋がっているというストーリー構造。この画期的なアイデアは、ディープなファンを急増させ、世界一のヒットシリーズへと押し上げた。
MCUは、映画がヒットしたから続編を作るとか、スピンオフを作るとか、そういった次元とは根本から異なっており、『アイアンマン』（08）、『インクレディブル・ハルク』（08）、『アイアンマン2』（10）、『マイティ・ソー』（11）、『キャプテン・アメリカ／ザ・ファースト・アベンジャー』（11）で個々のヒーローの活躍を描き、『アベンジャーズ』（12）で集結させるという構造になっている。
これも、一夜限りのお祭り企画的なイベント感あふれるものではなく、あくまで当初から予定されたもの。それまでの作品で伏線を張り巡らせたり、少しだけ絡ませたり、周到に計算されたうえでの「続き物」として提示している。役者の交代は多少あったものの、傍から見れば実に堅調に、【フェーズ1】（MCUは、ドラマでいうところのシーズン1的な意味合いで、「フェーズ」という区分けがなされている）を成功させ、その後も数々の傑作・ヒット作を世に送り出してきた。
『アベンジャーズ／エンドゲーム』予告
そして、2019年の『アベンジャーズ／エンドゲーム』でヒーローたちの物語は大団円を迎え、その後の『スパイダーマン：ファー・フロム・ホーム』（19）で【フェーズ3】は完結。その後に続く【フェーズ4】への期待を持たせる展開を示唆し、ファンを歓喜（と同時にヤキモキ）させた。
しかし、ここに来てMCUの順風満帆だった歩みに、アクシデントが生じる。それは、新型コロナウイルスの世界的な蔓延。2019年7月のサンディエゴ・コミコンにおける【フェーズ4】のラインナップ発表当初、公開＆配信の順番は
『Eternals（原題）』
『Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings（原題）』
『ワンダヴィジョン』
『Doctor Strange in the Multiverse of Madness（原題）』
『ロキ』
『What If ...?（原題）』
『Hawkeye（原題）』
『Thor: Love and Thunder（原題）』
だった。『ブラック・ウィドウ』『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『Eternals（原題）』が2020年に公開＆配信されるという予定だったのだが、その流れはコロナ禍で大幅に狂ってしまう。結局、2020年中に【フェーズ4】に突入することはかなわず、当初の順番から大きく変更され、我々のもとにやってきたのがディズニープラス作品『ワンダヴィジョン』（21）というわけだ。
そのため、『ワンダヴィジョン』は、現時点のMCUの中で、最も異質な作品といえるかもしれない。従来のMCUの流れを汲むと『Doctor Strange in the Multiverse of Madness（原題）』とつながりそうな気がするが、上記のような事情もあるため、なんともいえなさそうだ（マーベル・スタジオの代表ケヴィン・ファイギがThe New York Timesに語ったところによれば、コロナ禍における公開＆配信順の変更による本筋への影響は軽微であるという）。
ちなみに、『ワンダヴィジョン』は映画ではなくドラマシリーズ（全9話予定）であり、日本時間の2021年1月15日から配信が開始された。今回は、現状視聴できる第1・2話の内容を中心に、ご紹介していきたい。
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