ワンダとヴィジョンのこれまでの歩み
まずは、『ワンダヴィジョン』の概要について、改めて振り返ってみよう。本作は、アベンジャーズの一員で、恋仲になったワンダとヴィジョンを主人公にしたドラマシリーズ。ふたりが夫婦としてとある町に引っ越してきたところから幕を開けるが、明らかに不可解な出来事が連続し……という物語が展開する。
ワンダ/スカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン)とヴィジョン(ポール・ベタニー)は、【フェーズ2】の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(15)で登場したキャラクターだ。
ワンダは、元々はアベンジャーズの敵組織ヒドラの刺客だった。人体実験でテレキネシス(念力)とマインドコントロール(洗脳)の能力を得た強化人間で、アベンジャーズを苦しめたが、アベンジャーズによって居場所を与えられ、改心。以降はヒーローとして活動する。
ヴィジョンは、元々はアイアンマンをサポートするAI(人工知能)のJ.A.R.V.I.S. (ジャーヴィス)。紆余曲折を経てボディを与えられ、人造人間として第2の生を受ける。物体をすり抜ける透過能力や怪力、ビームなど、様々なパワーを有している。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』予告
ほぼ同タイミングでアベンジャーズに入ったふたりは、【フェーズ3】の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)で、さらに仲を深め合う。ただしこの作品では、ソコヴィア協定(アベンジャーズが国連の管理下に置かれる)をめぐってアベンジャーズが内部分裂するさまが描かれ、ワンダはキャプテン・アメリカ側、ヴィジョンはアイアンマン側として一時、対立関係にもなってしまう。
とはいえ、同じ「自分の能力に恐れを抱く」者同士、その後もワンダとヴィジョンは共に行動。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18)では、史上最強の敵サノスが、ヴィジョンの生命の源であるマインド・ストーンを狙い、急襲。ワンダは全宇宙の生命を守るため、ヴィジョンの願いを聞き入れてサノスより先にマインド・ストーンを破壊するも、サノスに時間を巻き戻され、さらには蘇ったヴィジョンを再び殺されてしまう。自身もサノスの“指パッチン”によって消滅してしまうのだった……。
だが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)で、ワンダは復活。サノスを圧倒する強さを発揮し、全ての戦いが集結したのち、アベンジャーズ入りするきっかけをくれたクリント/ホークアイと、去っていった者たちを偲ぶのだった。
…と、ここまでがワンダとヴィジョンのたどってきた道のりのごくごく簡単な説明となる。これまでのストーリーを追ってきた者からすると、ワンダとヴィジョンが共に生活している時点で不自然ではあるため、『ワンダヴィジョン』は一筋縄ではいかない物語だろう、という予測は働くのだが、第1・2話はさらに謎が深まる内容となっていた。次項からは、本作の中身について書き連ねていく。