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『キル・ビル Vol.1』タランティーノが愛したジャンル映画:カンフー映画編

(c)Photofest / Getty Images

『キル・ビル Vol.1』タランティーノが愛したジャンル映画:カンフー映画編

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『キング・ボクサー/大逆転』と『燃えよ!カンフー』



 ユマ・サーマン演じる「ブライド」が怒りを表明すると、サイレン音と共にダイナミックなホーンが鳴り響く。これは、テレビドラマ「鬼警部アイアンサイド」のために、クインシー・ジョーンズが書き下ろした曲である。ただしタランティーノは、カンフー映画『キング・ボクサー/大逆転』の劇中で無断使用された方をイメージしている。


 1971年、「ピンポン外交」がもたらした米中の国交回復により、アメリカに中国ブームが到来。翌1972年には、『キル・ビル』でビルを演じたデビッド・キャラダインが出演した『燃えよ!カンフー』が放映されヒットした。


『鬼警部アイアンサイド』オープニング&クロージングテーマ


 そんな時流の中、機を見るに敏なアメリカの興行師たちは、香港製カンフー映画を買いつけては公開していく。その中でも『キング・ボクサー/大逆転』(72)は『Five fingers of Death』のタイトルでアメリカとカナダで公開され大ヒットを記録。その劇中、主人公が怒りに燃え、広げた掌が赤く光る時に「鬼警部アイアンサイド」のテーマが流れるのだ。


 カンフー映画での楽曲の無断使用は、本作に止まらない。前記した『片腕カンフー対空とぶギロチン』の「ノイ!」ももちろん無断使用だし、前作にあたる『片腕ドラゴン』(72)では、アイザック・ヘイズの『黒いジャガー』テーマ曲が、やはり無断で使用されている。




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