1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ショート・サーキット
  4. 『ショート・サーキット』に影響を与えた、宇宙人と三人組とモンスターとは
『ショート・サーキット』に影響を与えた、宇宙人と三人組とモンスターとは

(c)Photofest / Getty Images

『ショート・サーキット』に影響を与えた、宇宙人と三人組とモンスターとは

PAGES


コメディ基礎教養としての「三ばか大将」



 アメリカ映画を見ていると、登場人物が眺めるテレビにチリチリのパーマ頭(ラリー)、オカッパ頭(モー)、坊主頭(カーリー)の3人組が愉快な効果音と共に殴り合いをするモノクロの映像が流れていることがある。これは「三ばか大将」(The Three Stooges)という1930年代から短編映画を中心に活躍したコメディ・トリオの映像で、彼らの短編映画をテレビ用に再編集したものだ。アメリカでテレビが普及しだした1940年代後半、テレビ業界のコンテンツ不足から、彼らの番組は繰り返し再放送された。そのため「三ばか大将」はアメリカで知らない人がほとんどいない「基礎教養」と言える存在になっている。


『The Three Stooges』動画


 彼らのスタイルはスラップスティックと呼ばれる、ボディアクション主体で笑わせるタイプのコメディだ。カーリーやラリーがとぼけてボケると、モーがテンポ良く殴りつけてツッこむというのがお決まりで、そのツッコミがバイオレンスの域にまで到達しているところが、いまだに人気を維持している所以だ。なので、映画の中で彼らの番組を楽しむ登場人物は、人が殴り合うようなプリミティブな作品を楽しむ程度にリラックスしているとか、程度が低いとされているものを楽しむような人物だ、という意味が持たされている。


 近年では、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(19)でキングギドラの3つの首に「モー、ラリー、カーリー」と3人の名前をつけて、暴力性をダブらせながら恐ろしさを紛らわせようとする場面があったり、また、サム・ライミ監督も彼らの大ファンで『死霊のはらわたⅡ』(87)でアッシュが自分の手とケンカをする場面は「三ばか大将」の完コピである。


 『ショート・サーキット』では、ナンバー5によって捕らえられたロボットたちがプログラムし直され、三ばか大将の『Woman Haters』の一場面を演じるという、高度な技術で猛烈にバカバカしい場面を再現するコメディ描写が登場する。





PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ショート・サーキット
  4. 『ショート・サーキット』に影響を与えた、宇宙人と三人組とモンスターとは