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『ブラック・ウィドウ』自らの手で、未来を奪還する。10年かけて到達した高潔な「過去編」

(c)Marvel Studios 2021

『ブラック・ウィドウ』自らの手で、未来を奪還する。10年かけて到達した高潔な「過去編」

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『007』『M:I』『ボーン』等、スパイ映画の要素が満載



 本編の詳細な内容に踏み込む前に、『ブラック・ウィドウ』の立ち位置とあらすじを振り返ろう。まずは、本作の時系列(ナターシャ関連)を整理したい。


『アイアンマン2』(10)

アベンジャーズ』(12)

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(14)

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(15)

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)

『ブラック・ウィドウ』(21)

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18)

キャプテン・マーベル』(19)

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)


(『 マイティ・ソー バトルロイヤル』(17)では、「2年前」として『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』時の映像で登場)


となる。『ブラック・ウィドウ』では、ソコヴィア協定(アベンジャーズを国連の管理下に置くことを指示するもの。出動には国連の許可が必要になるため、キャプテン・アメリカたちが反発し、アイアンマンたちと対立した)に違反し、逃亡生活を余儀なくされたナターシャが、自身の因縁に決着をつけるべく、離ればなれになっていた“家族”と再会、共闘する。いわば「空白の期間」にどんな行動をとっていたかが明かされるとともに、これまでは断片的に語られていたナターシャの過去(幼少期・S.H.I.E.L.D.加入タイミング)がより深く描写されていく。


 ナターシャの“家族”を演じるのは、『ストレンジャー・シングス』シリーズのデヴィッド・ハーバー、『 ハムナプトラ』シリーズのレイチェル・ワイズ、そして『 ミッドサマー』(19)ほか話題作に引っ張りだこのフローレンス・ピュー。さらに、オルガ・キュリレンコが重要な役柄で登場しており、豪華なメンバーがそろった。



『ブラック・ウィドウ』(c)Marvel Studios 2021


 余談だが、ピューが演じるナターシャの妹エレーナは、エマ・ワトソンやシアーシャ・ローナンも候補だったとか。だが作品を観ると、エレーナはピュー以外では考えられないほどのはまり役。海外のアーリーレビューでは彼女のパフォーマンスに絶賛が相次いでいるというが、大いに納得だ。


 ナターシャとエレーナの姉妹タッグは掛け合い含めて非常に小気味よく、シリーズ化を希望したくなるほど(エレーナがナターシャの決めポーズを茶化すシーンが秀逸!)。姉妹が初対決する部屋の中のシーンは、『ボーン』シリーズ的なリアルファイトが展開し(カーテンを武器にする演出が見事だ)、屋根の上を走るシーンや、装甲車と市街地で壮絶なチェイスを繰り広げるシーンは『ミッション:インポッシブル』、雪山に突撃するシーンは『007』を彷彿させる。姉妹の道程がそのまま、スパイ映画の系譜をなぞっているのだ。




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