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『ブラック・ウィドウ』自らの手で、未来を奪還する。10年かけて到達した高潔な「過去編」

(c)Marvel Studios 2021

『ブラック・ウィドウ』自らの手で、未来を奪還する。10年かけて到達した高潔な「過去編」

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『ブラック・ウィドウ』あらすじ

ブラック・ウィドウの前に突如現れた“妹”エレーナ。姉妹は、自分たちを暗殺者に育てたスパイ組織レッドルームの秘密を知ったことで命を狙われる。唯一の味方は、かつて組織が生み出した“偽りの家族”だけ。だが、この家族の再会によって、レッドルームの恐るべき陰謀が動きだす!ブラック・ウィドウの作られた過去との戦いが、世界の命運を握る。


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約10年を経て届く、ナターシャの単独作品



 『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)から、2年――。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品が、劇場に帰ってきた。


 2021年7月8日から日本で劇場公開、7月9日から「ディズニープラス」で配信開始された『ブラック・ウィドウ』。本作は、アベンジャーズの一員ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)を主人公に据えた単独作品となる。当初は2020年5月の公開を予定していたが、新型コロナウイルスの蔓延により再三の公開延期を余儀なくされ、約1年2ヶ月遅れでのリリースとなった。


 ちなみに、ナターシャの初登場作は『アイアンマン2』(10)。つまり、彼女が主役の作品が公開されるまでには、10年以上の年月がかかったわけだ。そういった意味でも、ファンにとっては待ちに待った作品だったのではないか。なお、『ブラック・ウィドウ』の劇場での上映時には、5月に公開されたマーベル・スタジオの特別映像(非常に感動的な内容だ)が流れる仕掛けが施されており、ファン的には本編が始まる前に涙腺が崩壊しかねない事態に……。


マーベル・スタジオ映画 特別映像


 さらにドラマティックなのは、本作が「過去編」であること。そもそも、ナターシャは『ブラック・ウィドウ』後の物語となる『アベンジャーズ/エンドゲーム』で命を落としており、本作はある種「追悼」の意味も持っている。


 シリーズを追いかけてきた観客にとっては、スクリーンで再び彼女の姿を観られるというだけでも胸に迫ってくるものがあるし、その後の運命を知っているだけに、どうしたって切ない気持ちで本作を観ずにはいられない。いわば、「泣く準備」が整った状態でナターシャを見守ることになるわけだ。そういった意味でも、『ブラック・ウィドウ』はこれまでのMCU作品とはやや異なった立ち位置であり、久々の劇場公開作品になったことも実に感慨深い。



『ブラック・ウィドウ』(c)Marvel Studios 2021


 作品単体としても、『さよなら、アドルフ』(12)、『ベルリン・シンドローム』(17)の実力派ケイト・ショートランド監督がメガホンを取り、『007』や『ボーン』『ミッション:インポッシブル』シリーズなどのスパイ映画の系譜を受け継いだアクション(エンドロールに『007 ムーンレイカー』(79)のタイトルが登場)、疑似家族の絆を描くドラマ、冷戦を題材にした歴史サスペンスの要素まで組み込んだ、見ごたえたっぷりの力作に仕上がっている。


 本稿では、決定的なネタバレは避けつつ、観る者にカタルシスを生み出す本作の緻密な物語展開に迫っていきたい。



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