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『ロビン・フッド』三つの『ロビン・フッド』と、ふたりのケヴィンの奇妙な関係

(c)Photofest / Getty Images

『ロビン・フッド』三つの『ロビン・フッド』と、ふたりのケヴィンの奇妙な関係

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『ロビン・フッド』あらすじ

12世紀後半のイギリス。十字軍遠征より帰還した貴族ロビンは変わり果てた祖国の姿を見る。圧政を強いる非道なノッティンガムの代官に立ち向かうべく、ロビンは信頼と友情で結ばれた仲間たちと共に戦いを開始する…。


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競作されてきたという歴史



 映画の企画はバッティングすることがある。同じ題材、或いは似た題材を描いた別々の映画が、同時期に製作されるということが起こるのだ。


 例えば、1988年。ピエール・ショデルロ・ド・ラクロの小説「危険な関係」を原作にした2本の映画が、競作になったことがある。1本は、スティーヴン・フリアーズ監督の『危険な関係』(88)。第61回アカデミー賞では作品賞など7部門で候補となり、脚色賞・美術賞・衣装デザイン賞を受賞するなど高い評価を得た。もう1本は、ミロス・フォアマン監督の『恋の掟』(89)。この作品は、『危険な関係』の公開・高評価を受けて、公開時期を1年ずらしたという経緯がある。奇遇なのは、『恋の掟』も第62回アカデミー賞で衣装デザイン賞の候補となっていたという点。こちらは受賞とならなかったが、18世紀のパリを描いた“アメリカ映画”は、公開時期を調整したことで、どちらも高い評価を得ることとなったのである。


 このような例は枚挙にいとまがなく、1998年には、地球に彗星が衝突するパニックを描いた『ディープ・インパクト』(98)が5月に、隕石が衝突するパニックを描いた『アルマゲドン』(98)が7月に、それぞれ北米で公開されたという例もある。また日本でも、小惑星探査機“はやぶさ”の業績を題材にした、角川映画の『はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH』(11)、20世紀フォックスの『はやぶさ/HAYABUSA』(11)、東映の『はやぶさ 遥かなる帰還』(12)、松竹の『おかえり、はやぶさ』(12)といった4本の映画が2011年から2012年にかけて立て続けに製作されたという事例もある。


『アルマゲドン』予告


 それぞれが異なる視点で描かれた“全く別の作品”ではあるのだが、公開時期が重なった同じ題材の作品は、後発であればあるほど観客が食傷気味となり、当然のことながら興行的には不利になるという側面を持っている。その点で、『ディープ・インパクト』のおよそ倍近い興行収入を日米の市場で共に稼いだ『アルマゲドン』の例は特異だといえる。


 また興行的なリスクについては、超高層ビル火災を題材にしたワーナー・ブラザースの「THE TOWER」と20世紀フォックスの「THE GLASS INFERNO」という異なる小説の映画化を計画していた2社が、競うことなく共同製作したという成り立ちのある『タワーリング・インフェルノ』(74)の事例が雄弁だ。


 実は、ケヴィン・コスナー主演の『ロビン・フッド』(91)もまた、複数の企画が同時期に立ち上がり、競作となった映画だったのである。



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