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『MONOS 猿と呼ばれし者たち』地獄のような神話世界によって問う人間の暴力性

(c) Stela Cine, Campo, Lemming Film, Pandora, SnowGlobe, Film i Väst, Pando & Mutante Cine

『MONOS 猿と呼ばれし者たち』地獄のような神話世界によって問う人間の暴力性

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『MONOS 猿と呼ばれし者たち』あらすじ

世間から隔絶された山岳地帯で暮らす8人の兵士たち。ゲリラ組織の一員である彼らのコードネームは“モノス”(猿)。「組織」の指示のもと、人質であるアメリカ人女性の監視と世話を担っている。ある日、「組織」から預かった大切な乳牛を仲間の一人が誤って撃ち殺してしまったことから不穏な空気が漂い始める。ほどなくして「敵」の襲撃を受けた彼らはジャングルの奥地へ身を隠すことに。仲間の死、裏切り、人質の逃走…。極限の状況下、”モノス”の狂気が暴走しはじめる。


Index


時代も場所も超越した若き兵士たちの物語



 『MONOS 猿と呼ばれし者たち』(19)は説明が難しい作品である。敢えて言うならこうだ。『地獄の黙示録』(79)のラスト30分を、より生々しく拡大して見せた映画だ、と。


 場所も時代も定かではない山岳地帯、少年少女たちがブラインドサッカーに興じる美しいシーンで映画は幕を開ける。しかし、実は彼らは民兵組織の兵士であり、誘拐した「博士」と呼ばれるアメリカ人女性を監禁する任務についていることが、徐々に明らかになっていく。


 本作の監督、アレハンドロ・ランデスはエクアドル人の父と、コロンビア人の母のもとに生まれ、アメリカの大学で学位を取得、ジャーナリズムの世界に入った。そんな彼は、本作のモチーフをコロンビア内戦に求めたが、国や時代を特定するような構成は避けたという。その意図はどこにあったのか。



『MONOS 猿と呼ばれし者たち』(c) Stela Cine, Campo, Lemming Film, Pandora, SnowGlobe, Film i Väst, Pando & Mutante Cine


 「時代も場所も特定できないような、時間を超越した世界を作ろうとしました。(中略)この映画は、国境を越えて、それ自体がひとつの世界として存在することを目指しました」


 ランデス監督は、一つの閉ざされた世界を構築し、そこで「ある問い」を発するための実験を行ったのだと、筆者には思える。





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