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『ガス燈』「ガスライティング」の語源となったサスペンス映画が、名作となった理由

(c)Photofest / Getty Images

『ガス燈』「ガスライティング」の語源となったサスペンス映画が、名作となった理由

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※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


『ガス燈』あらすじ

たった一人の肉親である叔母を殺害され失意に沈むポーラは、やがて優しく情熱的なグレゴリーと恋に落ち瞬く間に結婚する。二人はポーラの叔母が殺された家で新婚生活を始めるが、すぐに家の中でおかしなことが起き始める。突然ものが紛失したり、知らぬ間に場所が移動したり。家の中で勝手にガス燈の火の強さが変わったり、誰かが歩き回る音が聞こえたりもする。だがグレゴリーは、家の中での紛失はすべてポーラが自分でしたことで、物音がするのは気のせいだと妻に言い聞かせる。度重なる異変と夫の理路整然とした説明に、ポーラは自分がどこかおかしくなったのだと疑い始める。


Index


心理的虐待「ガスライティング」の語源となった映画



 嘘を教え、相手に間違った情報を信じ込ませること。最初はそんなはずはないと思っていても、信頼する相手から言われるうち、徐々に自分のふるまいや言動に確信を持てなくなっていく。そうして被害者は「正しい情報」と盲信し、それを教えてくれる相手にますます依存する。このように洗脳によって相手を支配する虐待行為は、近年「ガスライティング(gaslighting)」と呼ばれ、サイコスリラーやサスペンスと呼ばれる映画のなかでたびたび描かれてきた。なかでも多いのは、男性(夫)が女性(妻)を虐待する家庭内暴力(DV)の描写。


 ガスライティングとは、元々ある映画から生まれた言葉だ。パトリック・ハミルトン(ヒッチコックの『ロープ』(48)の原作も彼の作品)の戯曲をハリウッドで映画化した『ガス燈』(44)。映画が大ヒットしたことで、劇中で描かれた虐待の形が、いつしか「ガスライティング」という名称で知られるようになった。


『ガス燈』予告


 19世紀のロンドンを舞台にした映画『ガス燈』は、一人の女性が夫に嘘を吹き込まれ、精神的に衰弱していくまでを描いたサスペンス。たった一人の肉親である叔母を殺害され失意に沈むポーラは、やがて優しく情熱的なグレゴリーと恋に落ち瞬く間に結婚する。二人はポーラの叔母が殺された家で新婚生活を始めるが、すぐに家の中でおかしなことが起き始める。突然ものが紛失したり、知らぬ間に場所が移動したり。家の中で勝手にガス燈の火の強さが変わったり、誰かが歩き回る音が聞こえたりもする。だがグレゴリーは、家の中での紛失はすべてポーラが自分でしたことで、物音がするのは気のせいだと妻に言い聞かせる。度重なる異変と夫の理路整然とした説明に、ポーラは自分がどこかおかしくなったのだと疑い始める。




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