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『マラソンマン』古典演技 VS. メソッド演技、新旧アクターの火花散る対決

(c)Photofest / Getty Images

『マラソンマン』古典演技 VS. メソッド演技、新旧アクターの火花散る対決

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『マラソンマン』あらすじ

マラソンが趣味でアベベに憧れる大学院生ベイブは、兄ドクの死をきっかけに奇怪な事件に巻き込まれる。やがてその事件は、ベイブを、ナチ戦犯が画策するダイヤ密輸事件へと引き込んでいく……。


Index


悪を嬉々として演じる、オリヴィエの圧倒的存在感



「Is it safe?(安全か?)」


 アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)が、2005年に発表した「アメリカ映画の名セリフベスト100」。『カサブランカ』(42)の「Here's looking at you, kid(君の瞳に乾杯)」や、『スター・ウォーズ』(77)の「May the Force be with you(フォースと共にあらん事を)」など数々のパンチラインがひしめき合うなか、70位にランクインしたのが『マラソンマン』(76)に登場するこのセリフ。


 映画を未見の方には何のこっちゃ分からないと思いますが、これは元ナチ党員クリスティアン・ゼル博士(ローレンス・オリヴィエ)が、ダイヤモンドのありかを吐かせようと、主人公ベーブ(ダスティン・ホフマン)に拷問をかける際に発した凶悪フレーズ。ベーブはコロンビア大学に通う普通の大学院生で、ダイヤモンドのことなど知りもしない。彼はこの件に無関係であることを必死にアピールするも、ゼルは表情をいっさい変えることなく、ダイヤの所在を確かめるべく「Is it safe?」をリピート。そしてベーブの歯にドリルを突き立てるのだ。



『マラソンマン』(c)Photofest / Getty Images


 身の毛がよだつ拷問シーンに、試写会で鑑賞した観客が体調を崩し、劇場公開時には尺が短縮されたという逸話もアリ。リストブレードで相手の内臓を切り裂くという、生々しすぎるクローズアップも丸々カットされた。それほど、この映画におけるオリヴィエの圧倒的な悪役ぶりは際立っている。AFIが2003年に発表した「アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100」の悪役部門で、34位にランクインしたのも納得の存在感だ。


 ローレンス・オリヴィエの長い俳優人生の中でも、ハイライトの一つに挙げられるだろう。




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