1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. マラソンマン
  4. 『マラソンマン』古典演技 VS. メソッド演技、新旧アクターの火花散る対決
『マラソンマン』古典演技 VS. メソッド演技、新旧アクターの火花散る対決

(c)Photofest / Getty Images

『マラソンマン』古典演技 VS. メソッド演技、新旧アクターの火花散る対決

PAGES


“伝説のカリスマ”ロバート・エヴァンスの飽くなき執念



 『マラソンマン』の原作は、ウィリアム・ゴールドマンが1974年に発表したサスペンス小説。ゴールドマンといえば、『明日に向って撃て!』(69)、『大統領の陰謀』(76)でアカデミー脚本賞を受賞した、ハリウッドきっての名脚本家。彼自身が脚色したシナリオに、パラマウントのロバート・エヴァンスが目をつけた。


 エヴァンスといえば、映画化もされた自叙伝「くたばれ!ハリウッド」で知られる、“伝説のカリスマ”。絶大なる権力を手にするも、その後は転がるように転落していった「濃すぎる破天荒ライフ」は、今でも語り草だ。当時『ゴッドファーザー』(72)や『チャイナタウン』(74)など、ヒット作を連発していた若き天才プロデューサーは、嗅覚鋭く「コレは史上最高の映画映画になる!」と判断。映画化権を獲得するや、『真夜中のカーボーイ』(69)でアカデミー賞に輝いた俊英ジョン・シュレシンジャーを監督に招聘。主演のベーブ役として、ダスティン・ホフマンのブッキングにも成功する。


 実はホフマン自身、特にウィリアム・ゴールドマンの原作を気に入っていた訳ではなかった。それでも『マラソンマン』の出演を決めたのは、『真夜中のカーボーイ』でタッグを組んだジョン・シュレシンジャーと再び仕事をしたいという想いから。この役に興味を持っていたアル・パチーノに、先を越されたくないという判断もあったという。かくしてホフマンは、38歳という年齢で大学院生役を演じることになる。


 だがロバート・エヴァンスが最もこだわったのは、ローレンス・オリヴィエの起用だった。ナイトの叙勲を受けた、“サー”の称号をもつ名優。アカデミー作品賞受賞作『ハムレット』(48)では、主演ばかりでなく製作・監督・脚色も務めた演出家でもある。そんな超大物が『マラソンマン』の悪役として出演してくれたら、作品にハクがつくに違いない!エヴァンスは、ドリーム・プロジェクトの実現に向けて奔走する。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. マラソンマン
  4. 『マラソンマン』古典演技 VS. メソッド演技、新旧アクターの火花散る対決