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『レディ・プレイヤー1』天才同士の築いた“創造世界”が交わる秘密とは ※注!ネタバレ含みます。
2018.05.07
『シャイニング』に映画作りを邪魔されたスピルバーグ
ところが、そんな二人が再び顔を合わせたのは、わずか1年後。スピルバーグが英エルストリーの撮影所で『 レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)を手がけていたときだ。
奇しくもキューブリックは同じスタジオで『シャイニング』を撮了し、同作に登場するオーバールック・ホテルのメインロビーを撮影していた第3ステージで、スピルバーグは無数の蛇がインディ・ジョーンズを待つ「魂の井戸」の場面を撮っていたのである。
だが、このシーンの撮影を『シャイニング』の16mmメイキングフィルムを編集するため、同スタジオに残っていたヴィヴィアン・キューブリック(キューブリックの娘)が目撃し、蛇の扱いがひどいと父親、ならびにイギリス動物愛護協会に訴え出たのだ。
『 レイダース/失われたアーク《聖櫃》』予告
結果、ヴィヴィアンが至った行動によって撮影は一日まるつぶれとなり、『レイダース』の現場に混乱を招いてしまったのである。つまりスピルバーグの映画がキューブリックの映画によって妨害されるという状況を生んでしまったのだ。結果的に蛇を使った現場は改善が図られ、撮影は無事に終了したものの、『シャイニング』はスピルバーグにとって苦い思い出を含んだ作品となったのである。
とはいえ、こうした経緯がありながらもスピルバーグは『シャイニング』を「ゴーストハウス映画の最高傑作」と称賛してやまない。初公開時からこれまでに25回は観直したと言い、本作がもたらす衝撃を以下のように言語生成している。
「『シャイニング』は観る者に心理的な恐怖を存分に与える。ジャックが3ヶ月もタイプを打っていたのに、我々の目に入ってくるのは連珠のような文言であったり、また子どもが廊下の角を曲がったときに出会う衝撃で、観る者に深手を追わせるんだ」