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『レディ・プレイヤー1』天才同士の築いた“創造世界”が交わる秘密とは ※注!ネタバレ含みます。

『レディ・プレイヤー1』天才同士の築いた“創造世界”が交わる秘密とは ※注!ネタバレ含みます。

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なぜ『シャイニング』は、原作者に嫌われているのか。



 こうしてスピルバーグに愛された『シャイニング』だが、劇中、ムービーシンクへとウェイドたちを誘うヒント(「原作者に嫌われている映画は何?」)にされたほど、原作を手がけたスティーブン・キングからは蛇蝎のごとく嫌われている。稀代の巨匠による映画化であり、今やホラー映画のマスターピースとして名を轟かせる『シャイニング』を、なぜ原作者は否定するのだろうか?




 キングはキューブリックの映画版を評して「ホラーとしてのハートがない」と一刀両断している。自著であるホラー論考集「死の舞踏」をはじめとし、それこそ豊富な語彙を尽くし、本作をさまざまな媒体で腐しているのだ。とりわけ有名なのは米「アメリカン・フィルム」誌に掲載されたインタビューだろう。


 「あの映画にもいいところはたくさんある。でも、喩えて言えばエンジンのない、馬鹿デカい綺麗なキャデラックみたいなものだ。中に座って、座席などにはられた皮の香りを愉しむこともできる。ただひとつ、運転して走らせることはできない」


 もっともキングとて、当初はあのキューブリックが自分の本を監督してくれることを素直に喜んでおり、自ら撮影現場にも足を運び、そのときの好感触をホラー専門誌「ファンゴリア」のインタビューに答えている。期待が大きかったぶん、失望もより大きかったのだ。


 何よりキングにとって不快感のもとは、原作から大きく逸脱し、原作のテーマを根本から変えるケースにあったようだ。


 原作は主人公の少年ダニーの、ホテルに巣食う邪霊を弄する潜在能力“シャイニング(輝き)”の覚醒を中心に展開しているが、映画版はこうした要素を脇へと追いやり、ダニーの父ジャックが狂気へと囚われていく過程を丹念に描いている。もともとキューブリックは死後の世界や霊といったものに懐疑的で、原作にあるスーパーナチュラルな世界を合理性で否定しにかかっているのである。


 キングは自作の映画化にあたって、こうした映画だけの独立した解釈をもっとも嫌っている。その証拠に、彼が褒めるのは『 スタンド・バイ・ミー』(86)や『 ショーシャンクの空に』(94)、近年では『 1408号室』(07)や『 ミスト』(07)といった、細部に手を加えても大幅な改変へと至っていない作品が多い。


 また自身が脚本を手がけたテレビ版『シャイニング』(97)では、原作に忠実な形で物語が構成されていることからも、その一貫した姿勢は明らかだろう(もっともキングはその代わりに、ワーナーから「脚本に関わらせてやるから、映画版の批判をするな」という交換条件を示されたのだが)。



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