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『ビデオドローム』あなたの“現実”は本当に“現実”? 鬼才クローネンバーグ、40年前の挑発がここに甦る!
人を映像ジャンキーにする“ビデオドローム”とは何か?
ストーリーも振り返っておこう。主人公マックス・レンは、暴力や性を売り物にした映像で台頭しているケーブルTV局の社長。より刺激的なものを追い求める彼は、部下のエンジニアが受信したという海賊局ビデオドロームの映像に魅せられる。暴行、拷問、そして殺人……興味を引かれるも、この映像を見て以来、彼は原因不明の頭痛や幻覚に悩まされるようになる。
ビデオドロームは、見た者の脳に腫瘍を発生させ、そこから幻覚を見せるという驚くべきもの。背後には、これを利用して社会に革命をもたらそうとする陰謀が潜んでいた。しかし、マックスと付き合い始めていた恋人ニッキーは、ビデオドロームの世界にどっぷりハマッてしまい、出演したい一心で彼の元を去ってしまう。そしてマックスもまた、ビデオドロームの開発者たちの思惑に翻弄されていく……。
『ビデオドローム』©1982 Guradian Trust Company.All Rights Reserved.
ビデオドロームを見たあとに、ピアス穴を開けて耳たぶから血を流したニッキーと性交に耽るマックスとの倒錯的な場面は、自動車事故に性的興奮を覚える恋人たちを描いた、後のクローネンバーグ作品『クラッシュ』(96)にも通じるものがある。強烈なオブセッションは言うまでもなく、クローネンバーグ作品を構成する一要素。しかし、衝撃的なシーンはこれにとどまらない。