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『ビデオドローム』あなたの“現実”は本当に“現実”? 鬼才クローネンバーグ、40年前の挑発がここに甦る!
積年の恨みを晴らす、バイオレンス強度マシマシの4Kバージョン
『ビデオドローム』をクローネンバーグのビジョンに忠実なままにしておいたら、成人指定作品となることは免れない。全米公開するなら、少なくとも成人限定ではなく、ホラー好きのハイティーンを呼び込めるR指定が望ましい。それはクローネンバーグ本人もよくわかっており、編集に際して検閲担当者との話し合いにも参加していた。ところが、ユニバーサル側はその頭を飛び越えるように、残虐と思われるシーンをカットして公開。これにはクローネンバーグも激怒したという。
どのシーンを切られたことがクローネンバーグの逆鱗にふれたのかは、明らかにされていない。しかし、今年公開となる4Kディレクターズカット版と見比べると、それがなんとなく見えてくる。たとえば、マックスの手と銃が一体化した際にあふれ出る凄まじい血糊。マックスとニッキーのラブシーンがマックスの自室からヴィデオドローム内の拷問部屋へと変化するさま。オリジナル版のストーリーに大きな影響をあたえることはないが、クローネンバーグの映像へのこだわりを改めて確認できるのは間違いない。
『ビデオドローム』©1982 Guradian Trust Company.All Rights Reserved.
1983年、『ビデオドローム』は全米公開されるが、興行的には振るわず、600万ドル弱の製作費に対して、200万ドル強の全米興収を上げることしかできなかった。しかし、ホームビデオの普及により本作はカルト的な人気を博し、2年後にようやくビデオでリリースされた日本でも評判となり、劇場公開もされた。もちろん反響はさまざまで、難解や悪趣味という言葉で語られることもあった。しかしインターネットの発達で映像文化がより多彩になった21世紀の目で見ると、果たしてどうだろう? まずは、その目で“現実”を目撃して欲しい。
取材・文:相馬学
情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。
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配給:東京テアトル
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