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『ビデオドローム』あなたの“現実”は本当に“現実”? 鬼才クローネンバーグ、40年前の挑発がここに甦る!

©1982 Guradian Trust Company.All Rights Reserved.

『ビデオドローム』あなたの“現実”は本当に“現実”? 鬼才クローネンバーグ、40年前の挑発がここに甦る!

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あまりにも赤裸々な暴力とセックス



 肉体の異様な変異の描写はクローネンバーグ作品のトレードマークでもあるが、本作では特撮の鬼才リック・ベイカーを招いて、それが作られていった。マックスの腹部に生じた女性の性器を思わせる裂け目、そこに突っ込まれる銃やビデオテープ、身悶えするテレビの画面との接吻、溶解したマックスの手と一体化する拳銃……。『裸のランチ』(91)や『イグジステンズ』(99)などの後のクローネンバーグ作品にみられた、人体と機械のグロテスクな結合が、本作の時点ですでに試みられている。


 性的な描写では他に、マックスの局に持ち込まれた日本のポルノビデオの映像がフィーチャーされる。『サムライ・ドリーム』というタイトルのこの架空のポルノグラフィーでは、若い芸者が人形の顔と着物をはずすと、中から“コケシ”が出てきて、それを“使用”するというセクシャルな場面が現われる。今でこそ、クローネンバーグ作品をセックスと切り離して語ることはできないが、この題材をわかりやすく露骨に描いたのも、クローネンバーグ作品では初めてのことだった。



『ビデオドローム』©1982 Guradian Trust Company.All Rights Reserved.


 見る人によっては不快感を覚えかねないビジュアルだが、最初の脚本では、それはより過激な内容となっていたようだ。たとえば、フィルムアート社刊の「クローネンバーグ・オン・クローネンバーグ」によると、当初の結末は変異体に“進化”したマックスとニッキーらが乱交におよぶ……というものだった。クローネンバーグは、それを“私流のハッピーエンド”と語っていたことも。ファンとしてはそれも見てみたかった気もするが、やり過ぎといえばやり過ぎ。クローネンバーグ自身も映画として作った結末が好きであると、今となっては認めている。




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